平成31年度  学 校 経 営 に つ い て

世田谷区立砧南中学校 校長 高澤 功

1.学校経営にあたっての基本的な考え方

教育基本法には、義務教育の目的が、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことと明記されています。そのために、世田谷区では質の高い義務教育を目指し「世田谷9年教育」を進めています。具体的には、世田谷9年教育の指針となる第2次教育ビジョン第2期行動計画、世田谷区マネジメントスタンダード、世田谷区教育要領において、区全体の方向を示しています。

これを受け、本校では日常の教育活動を大切にしながら、規律があり、活気のある教育環境を目指します。そして、基礎的・基本的な知識や技能を基にした確かな学力、主体的、意欲的に考え判断し表現する力、自尊感情を高めるとともに他者を認め思いやる心を育て、望ましい人間関係をつくる力、健康な心身と困難に打ち勝つ体力をバランスよく育成して、生徒一人ひとりに社会人として自立して生きる力を育みます。また、充実した教育活動を通して、生徒の個性や可能性を適切に把握し伸ばすことに努めます。さらに新学習指導要領が告示されたことを受け、現行でも可能な内容は先進的に取り組みます。

学習指導、生活指導において、小学校から中学校への滑らかな接続は必要であり、そのために学び舎合同研修を行います。世田谷9年教育において、本校は「自立の学び舎」として、砧南小学校、地域連携校砧小学校との教育連携を深め、一貫した教育活動を展開します。

世田谷区内の各学び舎の地域は、それぞれ特徴をもっています。本地域には、多摩川、国分寺崖線があり、雑木林や野菜をつくる畑など多くの自然があります。一方、住宅地としての開発も進み、多くの公園も作られています。このような画一化されていない地域環境は、子どもたちの成長に大きな役割を果たしています。子どもたちのふるさとであるこの地域の豊かな教育環境の中で、地域に即した教育を進めるため、地域運営学校として、学校運営委員会の活性化を図りながら、保護者や地域が連携し、地域や社会に開かれた教育課程をもとに学校経営を進めます。

教育の実践にあたっては、子どもに公平に接することはもちろんのこと人権尊重の視点を基本とし、生徒一人ひとりに目を向け、生徒の声を聞き相談しやすい雰囲気をつくるとともに、心の動きや行動を的確に捉え迅速かつ親身に対応し、個人の自立を促します。常に生徒の視点に立ち生徒の課題を常に考え、解決の手立てを明確にし的確に指導、支援をします。また、話しやすい相談しやすい雰囲気をつくり、保護者、地域の願いや要望に対して迅速かつ誠意ある対応をします。そして、教育活動について責任をもって説明できる姿勢をもちます。

教育は信頼の上に成り立つという信念のもと、学校は保護者や地域、関係諸機関と連携を深め、その使命の重大さを自覚し確実に職務を遂行します。教職員が一体となり、子どもの健やかな成長を願い英知を結集して、生徒・保護者・地域の人々から信頼される学校をつくっていきます。

2.学校教育目標

広い視野を持ち、協力し合って社会を築いていく心豊かで自立した生徒を育成するため、次の教育目標を定めます。

  • 強い意志と健康なからだで ものごとをなしとげよう。
  • 創造力を豊かにし、実行力を身につけよう。
  • 思いやりの気持ちで人に接し互いに協力しよう。

3.スローガン

「一人ひとりが輝ける学校」

4.学校評価を踏まえた重点目標

  1. 基礎学力の定着を図り、学習意欲、主体的な学習とともに思考力、判断力、表現力の向上を進推する。
    数値による指標:授業に積極的に参加して、考えたり、発表したりしようとしていたと思える生徒を80%以上にする。
  2. 自尊感情を高めるとともに他者を認めていく態度を養い、望ましい人間関係を形成する力を養う。
    数値による指標: 思いやりの気持ちをもって発言したり行動したりしようとしていたと思える生徒を80%以上にする。
  3. 感謝する心をはぐくむとともに貢献する行動力を高める。
    数値による指標:自分を支えてくれる人々に感謝し、地域に貢献していこうとする気持ちが高まったと思える生徒を70%以上にする。

5.重点目標を達成するための指導の重点

  1. 人権
    生徒一人ひとりはかけがえのない存在である。そのために命の尊さを根幹にして、人権に対する知識と態度が身に付くように指導する。特に、いじめは重大な人権侵害であるという認識のもと、しない、させない、見逃さない指導を行う。
  2. あいさつ
    あいさつは豊かな人間性を築く上での礎となるものである。そのためにあいさつによる心と心の通い合いを実感させ、自ら進んで実践できる力を身に付けさせる。教職員からあいさつを発することで、あいさつを日常化させていく。
  3. 主体的・対話的な学び
    自己の考えを広げたり深めたりできるようにする。そのために学びあいや協働的な学習を意図的・計画的に取り入れ、自分で考えることや互いの考えを共有することを通して、考え、表現する機会を増やす。
  4. カリキュラム・マネジメント
    社会に開かれた教育活動を実践することが求められている。そのためにICTを生かした学習環境と地域の人材・物的資源を有効に活用するとともに、現代的な課題に対応するための教科等横断的な学習を進め、すべての教科・領域の学習で、課題発見能力、課題解決能力、情報活用能力、言語能力、表現力の育成に取り組む。
  5. 道徳教育
    自ら道徳的価値、道徳的実践を身に付ける。そのために「特別な教科 道徳」において、「考え、議論する道徳」を行い、多面的、多角的に考えさせ自己の生き方につなげる。
  6. 他者の尊重、集団力
    個の力を結集させた集団の力を養う。そのために学年・学級、異年齢の生徒、地域社会の人たちとのかかわりを通して、自己のよさに気付いたり、自己の責任を果たせたりできるように指導する。
  7. 地域貢献
    地域は若い力を期待している。そのために学校が地域に支えられていることを実感させ、ボランティア活動などに参画させ地域貢献の精神を育てていく。
  8. 特別支援教育
    通常学級で発達障害を抱える生徒がいる。個々の生徒の理解を進めるとともに巡回指導員等との連携及び個別支援計画等に基づいて個に応じた支援をする。特別支援教室開室に合わせて通常学級の教室及び学級・学年経営もインクルーシブ教育の観点を取り入れて充実させていく。
  9. 健康安全
    生徒の健康増進については自ら病気やけがの予防に努めさせるだけでなく、家庭とともに正しい食習慣、適切な睡眠や運動機会の確保を図っていく。安全指導では自らが危険を予測し、回避できる行動力を身に付けさせることを重視する。
    ※上記に示すように、次期学習指導要領における「社会に開かれた教育課程」の理念を意識して取り組む。

6.教育活動全般・学習指導について

(1)学習指導について
生徒一人ひとりの確かな学力、豊かな心、健やかな身体を育成するとともに、各人の良さを生かし、伸ばす教育を推進します。生徒個人やグループ・集団での自主的な活動や主体的な活動を大切にしながら、人間としての在り方、生き方を自覚させる指導を通して、生徒の自立へ向けた教育活動を進めます。

  • 道徳の時間を要としながら、全教育活動において道徳教育を推進し、豊かな情操と道徳的な心情を培い、人格の形成を図ります。また、道徳授業地区公開講座等で、保護者、地域の連携を深め、生命と人権を尊重する精神、正義感、責任感、規範意識を高め、自主自律の態度を育てます。
  • さまざまな体験活動を通して、自他を尊重する心、思いやりと奉仕の心、公共の精神を培い、社会の一員としての自覚と態度を育成します。
  • 学習規律を守らせるとともに学習習慣の定着を目指し、確かな学力の育成を目指し、基本的な学力の定着と向上を図ります。特に、数学・英語では、全学年で少人数授業を実施し、個に対応した指導を進めるとともに、音楽・美術ではTTによる授業を全学年で展開します。Eラーニングを活用して家庭学習を充実させます。また、適正な評価に努め指導と評価の一体化を目指します。さらに、教育相談や特別支援と関連させながら、個別指導を中心とするフォローアップ授業、包括支援員による支援を行い、生徒一人ひとりが基礎・基本を確実に身につけていくようにします。
  • ICTの効果的な活用や授業の工夫を通して、を有効に活用した授業を展開し、わかる授業、生徒の主体的・対話的で深い学びを引き出す授業を進めます。また、生徒が授業に積極的に参加して、考えたり発表したりできる授業を展開します。そのための教材作成や資料収集、教員研修の充実を図ります。
  • 放課後の時間を活用して、3年生の数学、英語の補習学習や2年生を主体とする英語の活動を実施します。3年生の土曜講習では基礎コースと活用コースを併設して、生徒の多様な学習状況に対応し、希望する進路決定へ向けて充実した学習環境を整えます。
  • 教科「日本語」の学習を通して、考える力、表現力の育成、日本文化に対する理解を深めます。
  • 総合的な学習の時間では、職業体験や課題解決学習などを通して、課題発見・解決、表現力、判断力、コミュニケーション能力などを育成しますす。また、多様な文化を理解し交流をもつことで、共に生きることの大切さを学びます。
  • 学校行事では友情を育み、学校や学級への所属感を高めるとともに、生徒の実行委員会や係活動班活動を通して、成就感と感動のある体験をさせ、自己肯定感、達成感を高めます。
  • 「世田谷3快プログラム」として、体育祭、球技大会、部活動を通して運動に親しみ、健康な身体と体力の向上を図るとともに、家庭科や保健の授業において食育を実施し、生徒会活動と関連させながら、生徒が食に対する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けるようにします。
  • オリンピック・パラリンピックの意義を理解させ、6月〜7月にその取り組みを行うとともに、担当国の紹介等を実施・公開し地域とともにその機運の醸成を図る。また、英語によるプレゼン力を高め英語力の向上を図り、将来のボランティアへの意欲・関心、豊かな国際感覚を育成します。
  • 発達の段階に応じたキャリア教育を計画的に実施して、自己理解を深めながら自己の適性を考え、社会性を身に付けさせるとともに、勤労観を培い、生徒一人ひとりの自己実現を図ります。
  • 朝読書の時間を活用し、生徒の読書量を増やし、読解力を育成します。
  • 数学検定、漢字検定を校内で実施し、生徒の学力と学習意欲の向上を図ります。
  • 校内研修、学び舎の研修活動において、各教科の分科会を継続して活動させ、世田谷9年教育の充実を図ります。

(2) 生徒指導について

社会の急激な変化、グローバル化、家庭や地域の教育力の変化などに伴い、生徒たちは様々な悩みや不安をかかえています。その一部は、いじめや長期の欠席などとして現れることもあります。また、障害者差別解消法の施行にともない、特別な支援を必要とする生徒への教育を充実させます。また、LGBTなど新たな人権課題に対応していきます。そのためにも、生徒指導の基本である「生徒理解」という視点に立ち、個の状況を適切に把握し安心して学校生活が送れるように、生徒一人ひとりへの支援をしていきます。

  • 社会のルールを守らせる指導を行うとともに基本的な生活習慣を確立し、心身の健康の増進を図ります。
  • 生徒会活動の活性化、日常化を図り、役員会、専門委員会における自主的な活動を推進することから、生徒の自立を促します。
  • 毎月10日の「あいさつの日」の運動を学び舎小学校と合同で同時設定し、生徒会の活動として進めていきます。自立の学び舎あいさつの日推進委員会と連携し、地域に活動を広げていきます。様々な教育活動を通して、子どもの活躍できる場を多くつくります。
  • Q−U(楽しい学校生活を送るためのアンケート)を年間2回実施し、結果を活用した生徒理解、学級理解を進め、学級経営を改善させ、生徒の社会性を伸ばすとともに、問題の事前防止に努めます。そのために、教員研修を実施、教員の資質・能力を高めます。また、相談しやすい体制をつくり教育相談の充実を図ります。
  • 学校いじめ防止基本方針に基づき、いじめの早期発見、早期解決に努めます。生活指導上の課題に対しても、保護者と連携しながら、迅速な対応、親身な指導、継続的な支援を進め、解決を図り、その後の学校生活が充実するよう指導を進めます。解決に当たっては、個人情報の管理と保護に十分注意を払いながら、教職員と保護者の連絡・連携を密にしていきます。
  • 特別支援・教育相談委員会を毎週開催し、生徒の学校や家庭における課題について、教育相談主任や各学年担当者、特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー等により協議します。校内では、フォローアップ授業の検討、スクールカウンセラーとの面接につなげます。また、スクールソーシャルワーカーと連携しながら、通級指導学級やほっとスクール、児童館、子ども家庭支援センター、児童相談所、警察など諸機関や主任児童委員との連携体制を確立させます。
  • 常に危機管理意識を持って、生徒の安全(給食等への衛生面及びアレルギー対応を含む)、安心、健全育成に努めます。セーフティ教室、安全指導、避難訓練、避難所運営訓練を通して、地域防犯・防災の意識を高め、生徒自ら身を守る意識を育成します。

(3) 教育環境の向上

教育活動の効果を上げるためには、より良い教育環境の維持が欠かせません。そのため、限られた 施設や予算を有効活用するとともに、人的な教育環境の向上に努めます。

  • 校内美化活動を推進し、ユニバーサルデザインに基づいた教室環境の整備を図り、落ち着いた学習環境をつくります。校舎、設備の定期的な点検を行い、迅速な施設の修理、改善を実施します。校内努力で対応できないものは、教育委員会の支援をもとに、より良い環境の維持に努めます。
  • 学校包括支援員による日常的な支援の他、外部指導員、ゲストティーチャー、各種講演会講師など、積極的な教育活動への参画を進めます。そのために、学校運営委員会や学校支援コーディネーターを通して、人材を広く求めていきます。
  • 学校関係者評価における生徒や保護者、地域の評価、要望を把握し、学校関係者評価委員会からの報告、提言を受け、常に教育内容の改善に努め、質の向上を図ります。
  • 校内研修を計画的に実施し、教育活動の充実と教職員の資質の向上を図ります。研究授業を実施し、授業力の向上と授業改善に努めます。
  • 早稲田大学大学院連携校として、教科指導の充実を図ります。

(4) 家庭、地域との連携

生徒は、学校、家庭、地域の中で生活し成長しています。生徒にとって地域はふるさとでなければなりません。生徒が健全に育つためにも、学校教育が成果を上げるためにも、学校、家庭、地域の三者が連携し協働する必要があります。そのために、地域運営学校として、学校運営委員会との連携を深め、社会に開かれた教育課程の編成を目指し、学校運営を進めます。

  • ホームページや学校便り、学年便りを充実させ、保護者や地域の人々に教育活動を広く伝えていきます。合わせて、学校便りや学校行事の案内を学び舎小学校の保護者へも配布し、広く学校を理解してもらいます。さらに適切かつ十分な情報を提供し、相互の連携を深めます。
  • 自立の学び舎あいさつの日推進委員会、地域町会、自治会、区行政機関と連携し、あいさつ運動を通して、地域の絆を高め、よりよい人間関係を育み、生徒の社会性を養います。
  • 学校運営委員会においてボランティアカレンダーを作成し、地域・関係機関におけるボランティア活動に生徒の積極的な参加を促すとともに、地域からの学校理解を高めます。
  • 保護者や地域に授業や行事など教育活動の積極的な公開、事後アンケートにより改善に努めます。
  • 保育実習の実施や園児の体育祭等への参加を図り、らる保育園との交流を深めます。
  • 生徒の健全育成を進めるため、地域学校交流会や地域懇談会、学校協議会を充実していきます。
  • PTAやおやじの会、青少年地区委員会、まちづくりセンターなどとの連携を推進します。
  • 世田谷9年教育「自立の学び舎」として、学び舎の研修会、学校や地域行事等での連携、小中合同学校協議会などを充実させ、小中連続した教育活動を進めます。
  • 都立世田谷総合高等学校など近隣の高等学校との交流を深め、中高連携を推進します。
  • 避難所運営に関して、砧地域、喜多見地域の学び舎各校と連携し、広く町会や自治会、関係機関との連携を深めていき、震災時の安全、安心を図ります。

5.地域に根ざした学校として

中学校の3年間は、人の一生の中で一番大きく成長する時期です。しかし、成長の仕方は一人ひとり違い、その過程でさまざまな問題もあらわれてきます。生徒が学校生活を楽しいと思えるように、また保護者の本校の教育活動に満足してもらえるように、子育てに悩んだとき教育に疑問を感じたときには、いつでも相談や質問においでください。地域に根ざした学校として、地域、保護者の期待に応えられる学校として、子供たちの健全な育成に向け、学校・家庭・地域がともに考え、それぞれの立場を尊重しながら、協力して教育活動を進めていきます。