世田谷区立八幡中学校 校長

新しい学校・新しい教育

八幡中学校は世田谷区の東南の端に位置しています。隣接する地域は、著名人が住んでいることで有名な住宅街である大田区田園調布と、大きな商店街が広がる目黒区自由が丘です。学区域は奥沢と玉川田園調布が主で、区内でも有数の閑静な住宅街であります。それとともに古い歴史のある地域でもあります。1689年に珂碩上人によって建立され、「おめんかぶり」の行事で有名な九品仏浄真寺や、室町時代からの祭礼で、藁で作った厄除けの大蛇が練り歩くことで有名な奥沢神社があります。また、奥沢城主大平出羽守の娘常盤姫の鷺草(鷺の飛翔する姿の花を咲かせる草)に関する常磐伝説(鷺草伝説)の地でもあります。現在、九品仏浄真寺の境内には鷺草園があります。
 このような八幡中学校の地域は、「自由が丘」という地名にもあるとおり進歩的な雰囲気をもつ地域でもあり、教育には関心が高く、学校にも協力的な地域であります。

新しい学校
「地域の期待に応え、地域とともに子どもを育てる学校」

そうした地域の特色がある中で、特筆すべきは「青少年九品仏地区委員会」など地域の活動が活発であり、「学校協議会」が世田谷区全校にできる5・6年前から中学校と連携を図った様々な活動を行っていたことです。現在は地区委員会の大きな行事には「中学生も地域の一員」ということから、生徒たちはボランティアとして参加しています。また、地区委員会と学校が共催して行っている行事に「立青式」があります。14歳を迎える生徒の前途を地域の方々とともにお祝いする式で、生徒は「今までを振り返って考えたこと」「将来の希望」「学校生活・家庭生活や関心がある社会問題について考えたこと」などについて意見発表を行っています。
 このような地域と学校の連携を背景に、平成15・16年度に「魅力ある学校づくりをめざした教育活動の創造」をテーマに、「豊かな心が育つ学校」「知的好奇心を満たし、確かな学力を保障する学校」「新しい発見があり、地域とともに育てる学校」について世田谷区の研究課題校として研究を重ねました。
 そして、「地域の期待に応え、地域とともに子どもを育てる学校」としてのこれまでの取り組みを土台に、「地域との連携をより一層深める学校」を目指して、平成17年度より「地域運営学校(コミュニティ・スクール)」としてスタートしています。

また、地域と家庭・学校が共通の理念の基に、義務教育9年間で子どもを育てることを大切に考え、「世田谷9年教育」の学び舎として教育活動を開始しました。八幡中学校学区の2つの小学校と八幡中学校の3校で学舎名を「さぎそう学舎」と定め、連携を密に行ない、教職員の交流を中心に、教科指導・生活指導等での共通理解を図っています。

新しい教育
八幡中学校が取り組む重点目標

より高い学力は、より豊かな人間力を目指す営みから身に付きます。そのためにも、八幡中学校では次の2点に力を入れていきます。

1 自ら進んで学力向上に励む生徒を育成する
時代の変化にあわせて、教育活動を変化させていくということが重要で、GIGAスクール構想に基づき一人一台支給されたiPadを活用した教育活動を充実させています。世田谷区で採用している学習アプリ「ロイロノート」や「Microsoft Teams」、学習支援ソフトQubenaを活用しています。ICTを効果的に活用することで、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指し、個に応じた指導の充実を図ることができています。
 また、本校では「PISA型読解力」の向上を目指しています。PISA型読解力とは、「自分でたてた目標を達成し、自分の知識と可能性を伸ばし、効率的に社会参加するために、テキストを理解・利用・熟考する能力」という能力のことをいいます。一斉授業で知識やスキルを教え込むだけではなく、主体的に情報や課題を取り入れたり、見つけたりして、それを多面的・多角的に思考する場面を大切にしていきます。
 具体的な取組として、授業内でのペアワークや小集団での話し合い活動などを充実させることで、対話(2人、小集団)力の向上を目指しています。 さらに外部人材を活用した学習活動を実践しています。地域支援コーディネーターと連携し、地域人材を活用し汰学習活動を行います。年間を通して定期的に検定対策講座を実施し、英語検定及び数学検定の取得を目指していきます。
 外部講師を活用した定期的な放課後補習学習を行い、勉強の苦手な生徒に対して「基礎基本の習得」や「勉強の仕方を身につける」ことを意識した活動を実践していきます。これらの学習活動を通して、自ら学習に取り組む意識を向上させていきます。


2 質の高い学級や学年をつくり、一人ひとりの可能性を広げる
人権教育や道徳指導を充実させることだけでなく、様々な教育活動において、「支え合い励まし合い、安心して間違うことができる集団」を作っていきます。そのために、性差や障害、人種や考え方の違いなどの多様性を認める指導、個に応じた最適な課題を設定したり、他と協働しながらの学習活動を推進していきます。
 また、「いじめをしない、させない、許さない、見逃さない」指導を徹底し、生徒が安心して生活できる集団つくりを心がけていきます。「Q−U」や「生活アンケート」や「定期的な面談」を通して生徒理解を図るとともに、生徒との信頼関係を構築していきます。環境面では、全ての生徒が生活しやすいユニバーサルデザインに基づいた生活環境つくりを行っていきます。
 これらの取組を根幹として、係活動・委員会活動・生徒会活動を充実させていき、生徒一人ひとりの可能性を広げていきます。

校長とともに教育課程を管理する学校運営委員会、それを補佐する学校協議会の支援によって、さまざまな取り組みを推進していきます。
   本年度もよろしくお願い申し上げます。

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