八幡中学校の特色

1.基礎学力の重視

『学力とは』が今ほど問われることはかつてなかったでしょう。いろいろなことを知っていてどんな質問にも答えられる力、計算が得意で速くて正確に計算できる力、聞いたこと・読んだこと・見たことを多く記憶する力・・・等々、様々な力を思い浮かべることができます。
しかし、文部科学省では、今日的学力を『生きる力』と定義し「自ら学び自ら考える力」と「基礎的・基本的な内容の確実な定着」を目指しています。そして、新しい学習指導要領の中で定めた各教科・領域の内容を最低の規準としています。

八幡中学校では、各教科ごとに基礎・基本となる学習内容を厳選し、カリキュラムを準備して、教科の授業はもちろん、「総合的な学習の時間」の中でも繰り返し学習していきます。

さらに、9教科を通じてすべての学習の土台となるもの、それは、「ことばの正しい理解」と「数学的な一つの真理を追求する能力」と考えています。どちらも高い基礎学力を身につけるためには、繰り返し学習する継続性が必要になります。具体的には、「朝学習による読書」「放課後学習 数学・英語」などを実施しています。

【学力向上・補充について】

平成14年度から週5日制になり、必修教科の授業時数及び教育内容が減ったことにより、社会的に大きな論議が起こり、『学力の低下』が心配されています。八幡中では、今までの学力水準を保つとともに、より高い学力をめざし、次の2つを柱として実施します。

  1. 数学科及び英語科の少人数学習指導による個に対応した指導
  2. 学力補充のための学習教室の実施(放課後・長期休業中)
    夏休みに初めの1週間に評価等に関する面談を行い、最後の1週間に補充学習授業を行いました。

この生徒、困っているみたいだな・・・と感じたときはすぐに声をかけますので、学力補充教室には必ず参加してください。また、自発的な学習はより一層効果的です。自分で「よくわからない」「疑問だ」と思ったときはそのままにせず、すぐに質問に来てください。日々、思い立ったときが補充の時、そう考えています。

2.生徒一人一人を大切にする教育の実践

 生徒一人一人のもっている力を、『いわゆるよい学校に入り、一流企業に勤めるため』ではなく、『豊かな人格形成のもとに、人としてよりよく生きるため』に生かしていくには、集団生活の中で、その能力をいかに発揮するかが大切です。その基本は、・様々な学習や経験を基に、ものごとを論理的に考える力の育成であり、・人間として他を思いやることのできる心の育成、いじめのない学校のための人権尊重教育の徹底、そして、・人から指示されて動くのではなく、自ら良い方法を考え、自ら計画し行動できる、生徒の主体的な行動を促す教育の実践にあります。
 本校では、生徒一人一人を大切にする教育を実践していきます。学校教育のあらゆる場面で、生徒の中に潜む可能性をそれぞれの場で最大限発揮させ、充実した学校生活が送れるように配慮します。生徒が自分の力を発見し、自信となった経験は、その後の生徒の生き方に大きな力になるからです。

3.道徳の授業の充実

 その人の「人間関係の豊かさ」は、その人の「生き方の豊かさ」にもつながります。「友達づくり」がうまくできないために、せっかくのその人の良さを十分に発揮できずに学校生活を送ってしまうことさえあります。
 本校では、このよりよい人間関係の醸成を基本に据え、?自分の考えを正確に伝える力、?相手の考えを聞き理解する力、?自己評価と相互評価ができる能力の育成を図ります。様々な手法などを取り入れ、人間関係づくりと個の生かし方について考えていきます。
 これまで、言語環境を重視した道徳の授業の実践として、「クラスの人と関わるスキルを獲得する(かかわりのスキル)」「言葉が引き起こす感情に気づく、相手の気持ちを考えた言葉選び(配慮のスキル)」をねらいとして、コミュニケーション・スキル、ソーシャル・スキルを体得できる道徳の授業を展開してきました。
 具体的には、「いろいろな話し方を試してみよう」「どんな応え方があるかな?」「協調的 交渉モデルを作ろう」「チクチク言葉とふわふわ言葉」「心地のよい挨拶と会話を開く言葉」「こんな時、どうしますか?」「ストレスマネジメント−身体からのアプローチ−」という様々なテーマを通して考えて学習を行っています。内容によって、スクールカウンセラーが参加する場合もあります。

4.地域に開かれた学校

【世田谷区教育ビジョンの具現化】
 世田谷区が平成17年3月に発表した「世田谷区教育ビジョン」は、平成17年度から10年間における公教育に対する考え方と具体的な施策を示すものです。「学校・家庭・地域の連携により取り組む」という従来からの教育方針を一層明確にし、

1.地域とともに子どもを育てる教育
○「地域運営学校」の設置   ○学校協議会・学校評議員制度の充実
○学校関係者評価制度の推進  ○9年間を見通した学校運営
2.未来を担う子どもを育てる教育
○世田谷「日本語」教育特区の実践   ○夏季休業中の授業日の設定
○特別支援教育の推進
3.信頼と誇りのもてる学校づくり
○せたがや教員塾の創設   ○学校経営塾の創設など
4.教育環境の整備
○学校適正配置等の推進   ○新しい学校改築の方針など
5.教育委員会の改革
○開かれた教育委員会の推進など

の5つの観点から未来を担うこどもたちを育み、信頼と誇りのもてる学校づくりを目指しています。

現在、八幡中学校では上記太字の部分に関して、地域の中の学校として世田谷教育ビジョンの具現化に努めています。

【地域運営学校】

 平成17年度より、八幡中学校は世田谷区教育委員会から「地域運営学校」の指定を受けました。「地域運営学校」とは地域に開かれ信頼される学校づくりを進めるために、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画するという学校です。
 地域の方9名に学校長を加えた10名の「学校運営委員会」の場で、学校運営の基本方針や予算案の承認を行い、学校運営に関して教育委員会に対して意見を述べることができます。学校運営委員会はほぼ1ヶ月に1回程度開催されており、その内容については、そのつど「学校運営委員会だより」で皆さんにお知らせしています。
 さらに、平成19年度から地域運営学校に指定された学区域の八幡小学校・九品仏小学校とともに、「世田谷9年教育研究校」に指定されました。

【学校関係者評価】

学校評価につきましては、平成15年度から本校独自の調査項目で、保護者および地域の方々にも評価をお願いしてきましたが、平成17年度からは区内の全中学校共通の項目を中心とするアンケートを実施しています。平成20年度は、「学校外部評価」という名称から「学校関係者評価」に変わり、10月中旬に配布し10月下旬に回収しております。
 本校では、この結果をもとに地域の方々で構成される関係者評価委員会で検討を加え、学校としての改善点を提言いただき、校内で再検討を加え次年度の教育課程に生かしています。さらに、これを地域運営学校の学校運営委員会で承認していただき、結果は保護者・地域の皆様にお知らせするとともに、ホームページでも公開します。今後も地域の学校として、保護者・地域の方々に広くご意見をいただき、生徒のための学校をどのようにしていくかを共に考えて行きたいと思っております。

5.総合的な学習の時間の充実

これからの中学校教育には、生徒に自ら学び自ら考える力を育成し、生徒一人一人の個性を生かした教育が求められています。このような観点から「総合的な学習の時間」では、教科にとらわれない体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図り、生徒の興味・関心などに基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行っていきます。
 八幡中学校の「総合的な学習の時間」は、自ら学ぶ力や態度の育成をめざす『学び方』総合学習と、個々の興味・関心に根ざした自己テーマを追求しながら豊かな人間性や社会性を伸ばし、国際社会に対応できる力の育成を目指す『生き方』総合学習の二本柱で構成します。どちらも教科の枠にとらわれることなく学習を進めていきます。地域に関わることについて、あるいは職業・勤労についての学習をする場合は、地域の多くの方にご協力を得ています。

6.高校の教員による訪問授業の実施

平成20年度から、進路についてじっくり考えていくために2年生の時期に行ったほうが選択の幅を広げていくことができるという理由で、本校では、進路指導の一環として2年生対象に、高校の先生を招いての授業を行っています。

過去の授業        新宿高校(物理・生物)、深沢高校(和太鼓)
       世田谷泉高校(コミュニケーション)、第一商業高校(情報処理)
        国際高校(国際理解)、西高校(物理・日本史・数学)、園芸高校(動物)
       豊多摩高校(日本史)、杉並総合高校(職業入門・地理)
       工芸高校(デザイン)、戸山高校(英語・物理)
       世田谷総合高校(産業社会と人間)・(美術・視覚伝達のマーク)
       大田桜台高校(スペイン語)(ビジネス東京の経済)
       産業技術高専(構造力学)、品川エトワール女子(茶道)

 それぞれ、高等学校の先生の授業に直接触れるということで、興味・関心を持ちながら楽しく受けることができました。