第66回卒業式卒業生に卒業証書を渡しながら「おめでとう。がんばれ。」と声をかけると、「ありがとうございます。」と返すその時の表情から、何とも素直で、希望に満ちた気持ちがよく伝わってきました。 合唱は、卒業生の「一体感」を感じ、最後に1、2年生によい手本を示してくれたと思いました。さすがですね。ありがとうございました。 以下、式辞です。 弥生、三月、春の風、駒沢中学校にも、「旅立ちの時」を感じさせる春の空気が満ちてまいりました。一0四名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本校の教職員及び学校運営委員並びに在校生を代表して、心からお祝い申し上げます。 この一年間、皆さんと一緒に学校生活をおくり、皆さんのやさしさや温かさ、素直さ、あきらめない心にふれることができて、本当によかったと思っています。皆さんの門出にあたり、はなむけの言葉を贈ります。 まず、「命あることに感謝する」ということです。 生まれてから十五年、日にちに直すと五四七五日、皆さんは生きてきました。その間、けがや病気もあったことでしょう。そのたびに、皆さんの家族は自分のこと以上に心配し、看病し、子どもが健康であることに喜び、感謝してきたことと思います。皆さんの誕生日が来るたびに、我が子の無事な成長を喜ぶ、親が子どもを思う気持ちがどれほど強く、温かいものか、あらためて考えてみてください。 今、命あること、そして、皆さんの命を大切に守ってきた家族の方々に感謝し、これからの人生を健康でつつがなく、命を大切に過ごしてください。 もうひとつ、最後に私が皆さんに伝えたいことは、「失敗を怖れてはいけない」ということです。世界最強の女性三十人に選ばれたフランスのクリスティーヌ ラガルドという女性は、IMF(国際通貨基金)の専務理事として、ヨーロッパの経済危機の対応に辣腕を振るっています。ラガルドさんは、十代の頃、官僚や政治家の登竜門である学校を受験して二回失敗していますが、この時の失敗を振り返ってこのように述べています。 「 失敗は人生の一部、恥じることはありません。うまくいかなければ、別の方向を目指せばよいのです。立ち直り、がんばり続けることが成功の秘訣です。また、自信をもつことが成長の鍵です。自信をもてば前に進めるし、他の人に自信を与えることもできるのです。」 失敗を怖れず積極的に挑戦し、一生懸命努力した上での失敗であるならば、努力した分、自分に力と自信がついているものです。別の方向を目指したとしても、挑戦して得た自信は、さらなる新しい挑戦にもつながるし、その姿は周囲の人々にも自信を分け与えることになるということです。元プロ野球監督の野村克也さんも「失敗と書いて『せいちょう』読む、その失敗をどのように成長の糧に変えられるかということが大切だ。」と話しています。 このように、世の中で活躍する人たちも、繰り返し失敗し、繰り返し挑戦することによって自信を得て、今の成功に至っているのです。新たな場所へと一歩を踏み出す皆さんも、失敗を怖れず挑戦を続け、確固たる自信を胸に、豊かな人生を創り上げていってください。そして、いつまでも地域の先輩として、駒沢中学校の後輩たちとかかわり、導いてほしいと思います。 最後になりましたが、ご来賓の皆様、本日はご多用にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございました。 保護者の皆様、あらためまして、お子様のご卒業おめでとうございます。あんなに小さかったお子様の小学校入学から九年が経ち、本日義務教育を終えるに当たり、さまざまなことが思い出されるのではないでしょうか。楽しかったこと、ご苦労されたこと、皆様の温かい愛情にはぐくまれ、このように立派になったお子様の姿をご覧になって、感慨もひとしおだと思います。この三年間、本校にご理解とご協力をいただきまして、誠にありがとうございました。 卒業生の皆さんの洋々たる前途に幸多いことを心から願い、式辞といたします。 平成二十五年三月十九日 駒の学び舎 世田谷区立駒沢中学校長 加藤敏久 来賓の方々も「すばらしい卒業式でしたね。」とほめてくださいました。1、2年生の態度もよかったと話してくださる方もいました。 |
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