日々の教育活動の様子をアップしています。

「Gravity〜休校中の君たちへ〜」

 学校では多くの教科を学びます。教科によって学ぶ内容は様々ですが『学ぶことで世界が今までと少し違って見える』そんなきっかけをもらえることは同じです。このコーナーでは、世の中の様々な出来事を今までとは違った視点で見ることができる『教科のメガネ』をみなさんにプレゼントしたいと思います。
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『理科を学ぶ理由〜自分の常識に「根拠」を持つ〜』
 自分の常識を疑ってみることがあなたはどれぐらいありますか。当たり前と思っていることの何が正しく、何が正しくないか考えたことはありますか。驚くべきことに、数回クリックすれば真偽を確認できるこの世の中で、近視を目の動きで治そうとする人やガムを飲み込むことを恐れる人が少なからず存在しています。
 何か新しいことを知ったときその情報を確かめてから自分のものにする、そうして自分の価値観がつくられていく、それが当たり前ですよね。しかし実際のところ、たまたま聞きかじったとか、ちょっと読んだだけのほとんどのことを私たちは信じ込んでしまいます。もちろん時々は確認し、いろいろな説の真偽を疑ってみたりはしますが、それも稀なことです。
 遠い昔、私たちの祖先は疑うことを知りませんでした。茂みでごそごそと物音がすれば猛獣が近づいてきたと判断し全く疑わず、跳んで逃げていました。その音が何だろうとゆっくり考えている暇がなかったのです。人の脳は間違った思い込みを自動的には修正しません。けれども今の私たちは、情報を簡単に確かめる方法が発達し、調べて自分でその思い込みを修正することはできます。思い出してみましょう。家族、先生、友達が教えてくれたことを。そしてそれがいつも正しいわけではなかったことを。

「人間は脳の10%しか使われていない。」
 これは間違った思い込みの代表的な例です。この理論に基づいて映画や本が書かれるなど、根強く信じられてきました。真実は、過去の心理学者が、脳の機能について話したのではなく、人が一生に発達させることのできる知能について述べたセリフが間違った解釈で伝えられたことによります。そしてこの理論は、「能力開発」などの講座や、ハウツー本で利益を上げることにうまく使われたので、ここまで広まっていったのです。
 
 このように、科学技術が溢れる世界で、利益を生みそうな話題や注目を集めそうな情報は、その根拠が曖昧なまま切り出されることも多くあります。ただ、見たこと聞いたことをすべて疑う必要はありません。疑ってばっかりだと疲れちゃいますし...
でも、新しい情報にふれたとき、多くのデータを見比べて根拠をもって真偽を確かめるというクリティカルシンキングができるような「目」を、科学を学んで身につけるのも悪くないと思います。ぜひとも、自分をレベルアップさせるような気持ちで学んでみてください。

「今日できることに全力を注げ そうすれば明日は一段の進歩を見るだろう(アイザック・ニュートン)」

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