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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.95

あまたある学園ドラマの中で
『めだか』(2004年にTV放送)は
定時制高校を舞台としたドラマである。

目黒たか子、通称"めだか"は
リストラされた元OL。
持っていた国語の教員免許のお陰で
何とか定時制高校教師の職を得る。

たまたま職を得たというだけで
めだかは教師の仕事に意欲が湧かない。
彼女の担任するクラスには年齢も様々な
一癖も二癖もある生徒たちが揃っていた。

めだかは自分より人生経験豊富な生徒たちと
様々なトラブルを通じて関わる中で
教える立場の自分が
実は生徒たちから学んでいることに気づいていく。

✏️

ドラマが放送されていた頃、
私は仕事の関係で
都立高校の夜間定時制課程を見学した。

時刻は19時過ぎ、数学の授業中。
突然、教室のドアをガラッと開けて
大柄な男子生徒が入ってきた。

体全体に負のオーラを纏(まと)っている。
十人程度のそのクラスで
彼のふてぶてしい態度は異様だった。

それでも淡々と授業を続ける数学教師。
黒板に三角関数の問題を書く。

「この問題、解いてくれる人は?」教師が問う。

その時、私の想定外の事が起きたのだ。
例のふてぶてしい態度の生徒が手を挙げている。
数学教師は迷うことなく彼を指名した。

黒板の前でしばらく考えた後、
スラスラと答えを書き始めた。

「そうだね、お見事!正解です」

ちょっと笑みを見せながら
生徒はふてぶてしさはそのままに
自席へと戻って行った。


「中学時代は手に負えない生徒だったようです」

授業後、別室で数学教師は私に話してくれた。
繰り返される問題行動。
高校入学後もトラブル続きだったと言う。

ある日のこと。
授業中、全くやる気を見せないその生徒と
放課後話し合いを持った。
「やる気がないのなら学校来なくていい」
思わずそう言いそうになって
教師はその言葉をグッと呑み込んだ。

きっと同じ言葉は何度も聞かされているはず。
気がつくと別の声掛けをしていたそうだ。

「授業がわからないってツラいよね
数学の何が難しいか話してくれる?」

生徒は不思議そうに教師の顔を見つめ、
一言つぶやいたという。

「分数がわけわからない」

その日からマンツーマンの特訓が始まった。
不思議なもので一度理解できるようになると
あれよあれよと言う間に
小学校算数の問題が解けるようになった。
続いて中学校数学の問題へ。

「今では三角関数は得意分野なんです」

数学教師は嬉しそうに私に話してくれた。
「教えるのではなく、共に学んだ一年間でした」

都立高校を後にしながら
その生徒がちょっとだけ見せた「笑み」が
私の頭から離れなかった。

🏫

ドラマ『めだか』の主題歌は
スピッツの『正夢』。

歌のラストフレーズ

ずっと まともじゃないと わかっている
もう一度 キラキラの方へ 登っていく
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行事予定
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(水)
期末考査