GWが始まりました。気温等が急変しやすい季節です。睡眠を充分にとり体調を整えましょう。

卒業式 別れの言葉 1、2

「良い合唱ができる力はあるのに、なんで言われてからじゃないとできないの」
先生に言われた。
やる力はある。なのに出し切らないのがこの学年の課題だった。なんの行事でも不安な始まり方だった。学年委員や実行委員が言っても、仲間の声なのにあまり響かない。先生に言われないとできない。言われるとできるようになるが、次の週には忘れてしまう。しっかりとできるようになるのも、リハーサルや予行の後。そこからは本気になり、みんなで同じ方向を向いて取り組むことができる。
だけど。もっと最初からエンジンがかかっていれば、もっともっと練習して、もっともっと完成度の高いものが作れたんじゃないか。
そう思っていたのは僕だけじゃない。
僕たちの学年は、はっきり言って「スロースターター」だった。




女子のムカデがスタートする。進みはスロー。止まった。また動き出す。僕たちにバトンが渡った時には他のクラスはゴールしていた。

「運動会」それは体育委員の僕にとって絶対に優勝したい行事だった。
 大ムカデは僕たち三年二組が得意とする競技だ。他クラスは、全員リレーが速く、大縄の回数は僕たちより多い。それでも大ムカデだけは負ける自信がなかった。
そして迎えた運動会予行。女子からスタートをしたが、初めから歩数が合わず、ゆっくり歩いている感じで進み、最下位でバトンを受け取った。しかし、さすがの僕たち男子は怒涛の追い上げを見せ、なんとか二位でゴールすることができた。一位を狙っていたが、挽回もできたし、とりあえず安心した。大ムカデで勝つためには女子がもっと上手くならなければ。残り少ない練習により一層力を入れた。「女子が遅くなったとしても、俺らがそれを挽回して一位に躍り出ようぜ。」そうみんなに呼びかけると、二組の男子たちはよりスピードが上がるように、練習に力を入れてくれた。
ついに迎えた運動会当日。僕たち大本命の大百足の出番がきた。足の紐のチェック。しっかり結んだ。並びも確認する。大丈夫。完璧の状態で臨んだ。女子にも「がんばれ!スタートが大事だよ!」と声をかけ、ムカデが始まった。
「頑張れ!」一生懸命応援した。だけど。スタートがうまくいかない。他のクラスは競り合っているのに、二組はどんどん引き離されていく。二組の女子が男子にバトンを渡す前に、他のクラスは男子までゴールしていた。「二組の得意とするムカデ」そのムカデで最下位になってしまった。
いくら頑張ってももう無理だ。そう思った。「女子は何をしているんだ」という声も聞こえた。だがその時、まだゴールしていない女子の、一生懸命バトンを繋ごうとする姿が見えた。「もう最下位だから、無理だ。周りに見られて恥ずかしい。」そんな思いで適当に戻ってこようとしていたっておかしくないのに。女子も悔しいんだ。それはそうだ。みんなで「一位を取ろう」と言い合ったのだから。女子の懸命に戻ってこようとする姿を見て、嫌なことを言う男子もいなくなった。
「こうなったら俺らの爆速見せようぜ!」女子がやっとゴールする。これからは俺らの番だ。順位が問題なのではない。俺らの練習の成果をここにいる人たちに見てもらいたい。始まりから、練習よりもすごい力が出た。アドレナリンが出て、スイスイ進む。その時、周りから応援の声が聞こえた。夢中になっていて分からなかったけど、よく見たらもうゴールしている一組も三組も一生懸命声を出して応援してくれている。後輩から「速!!頑張ってください!!」という声も聞こえる。先生方が近くまで来て「最後まで最後まで!」と声をかけてくれている。順位で競い合う運動会だが、この駒留中が一体になっている。

勝てなかったことは悔しかった。でも、俺らのムカデは駒留中のみんなを一つにした。僕は体育委員として、誇らしかった。最後まで諦めずにやり切った二組のことが。そして、僕たちを敵なのに応援してくれた一組や三組のみんなのことが。そして、僕たちにやり切る力をくれた、後輩のみんなや先生方のことが。
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