平成28年度 修了式先日は、みなさん立派な態度で卒業生を送ることができました。本当によい卒業式となりました。最後の校歌には感動しました。在校生としてできることを精一杯やりきれましたね。ありがとう。 さて、皆さんは「初心忘るべからず」という言葉を知っていると思います。「新人のころの、あるいは初めのころの感動や純粋な気持ちを忘れずに、ひたむきに物事に取り組む」という意味で使われていますが、これは本来の意味ではないようです。本来の意味は、能楽を大成させた室町時代の人物、世阿弥元清が著した「花鏡」という著書の中にある言葉です。世阿弥は「初心忘るべからず、この句、三ヵ条の口伝(くでん)あり」「是非とも初心忘るべからず 時々の初心忘るべからず 老後の初心忘るべからず この三、よくよく口伝(くでん)すべし」という言葉を遺しています。「是非」とは良いこと、悪いこと。是非によらず、修行を始めたころの初心の芸を忘れるな、ということです。「初心」とは、初めの志ではなく「芸の未熟さ」のことを表しています。修行を始めたころの未熟さを忘れるなということです。「時々の初心忘るべからず」とは、修行の段階ごとに、それぞれの時期の初心、芸の未熟さを忘れるな、ということです。「老後の初心忘るべからず」とは、年をとってくると自分が熟練者のように思うがそうではない。年をとったら自分が未熟であることを忘れてはならない。未熟な時代の経験、失敗を忘れないように、常に自分をいましめ、常に上達しようとする姿を保ち続けることが大切である、といっているのではないでしょうか。私もこのことばを自分への大きないましめにしていきます。みなさんもぜひ、この言葉の意味をしっかり考え、自分自身を振り返り、常に向上しようとする気持ちを忘れない上級生になってください。期待しています。 平成29年3月24日 修了式 |
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