1学期 終業式の校長講話
今日は、私自身の話、「中2の夏が、私の人生の分かれ道になった」という話をします。
私は教員になる前、テレビやラジオの音楽の会社で働いていました。その後いくつかの仕事を経て音楽の教師になり、今は音楽の先生向けの講習会で講師をすることがあります。ずっと音楽と共に生きてきましたが、「音楽を続けていこう」と思うきっかけになったのは、中2の夏でした。
そんな私の家にはピアノはあったものの、ちゃんと習ってはいませんでした。
音楽の授業が始まる前に仲間と遊びで好きな曲のイントロとかを片手で弾いていると、突然音楽の先生が、「あれ、阿部君ピアノ弾けるの?よかったら合唱コンの伴奏をやってみない?」と声をかけてきました。
「先生は何を勘違いしているんだ」、とも思ったのですが、その時は、何となく好奇心が勝ってしまい「あ、やります。」と返事をしてしまいました。
夏休みに入って練習を始めてみると、まあまあ難しい。「まずいな。ノリで引き受けるんじゃなかった」とちょっと後悔しました。
そしてほぼ毎日、弾けないところを繰り返し練習しながら…塾も部活もあるし、「これは間に合わないよなぁ」と思いながら…「でも、やらないと!」と、やっているうちに「なんか楽しいかも」と思えることも増えてきました。
そして10月の合唱コンクールは、「一応止まらなかった」というレベルで、どうにか終わりました。指揮を見る余裕もほとんどなかったけれど、「終わった」という安心感と、「とりあえず、逃げずにやり切った」という、なんか、ものすごい達成感がありました。
それがきっかけになり、いつの間にか音楽の道へ進み…その後は、思えば好きなことばかりやってきたなぁと振り返っています。
多分、誰かに「やれ」って言われたからではなく、自分で「やってみよう」と思えたことが、人生の分かれ道になった理由だと思います。
皆さんにも、この夏休みに何か自分なりのチャレンジをしてみることをおすすめします。
大切なのは、「誰かに言われたから」ではなく、自分で「やってみよう」と思えることに出会うこと。
そのためには、時にはスマホやテレビからの、受け身でも入ってくる情報から離れて、「自分ってどんな人間なんだろう」とか「自分は本当は、何がしたいんだ?」と、自分と向き合う時間をもつのが、いいかもしれません。自分で選んだ本を読んだり、一人で散歩をしたり、一人で自転車に乗ったり、そうした時に自然と、自分自身と向き合うことができるかもしれません。
45日後、「やってみてよかった」と思える経験が一つでもあれば、夏休みは皆さんにとって大きな意味のある時間になるとおもいます。
そして何年か後に振り返ったとき、「あの夏が、自分の人生の分かれ道だった」と思える出来事になっているかもしれません。そんな夏休みになることを願っています。