5月18日 図工室より1(5月17日の授業より)

 3年生、絵の具の混色の授業。描くうちに偶然できた模様のような、壁紙のような不思議な絵に題名をつけました。題名も大切です。作品が自分の分身としたら、題名は名前です。名付け親になった気持ちで自分らしい題を考えてほしいなといつも思っています。特に今回の題材は、描くテーマが決まっていたわけではなく、自由に一筆描きした線がつくりだした形に、絵の具を混色し塗っただけの絵ですから、「さあ、くふうして題をつけてみよう!」と投げかけても子どもたちも困ってしまいます。でも、あえてまるまる1時間使って、題だけを考える授業を行いました。
 自分らしい題を付けるための工夫、そのためにいくつかの条件を設けました。それは、「どんな作品にも当てはまりそうな言葉は使わないこと」です。例えば、カラフルという言葉。今回の題材はパレットの小部屋を上手に使って混色することが目的でしたから、みんなたくさんの色をつくりました。当然、どの作品もカラフルです。ただ、カラフルといっても一人一人すべて違います。そこで「自分の使ったカラフルな色から連想する別の言葉を探してみよう」と投げかけました。決してカラフルという言葉が悪いわけではありません。でも、だれでも思いつきそうなカラフルという言葉で片付けてしまうと、一人一人の子どものもっている経験や感性が眠ったままになってしまうように思うのです。「喉元にある言葉ではなく、お腹の底から自分の持っている言葉をひきずり出す」少し荒々しい言い方ですが、名付け親になるということは、そういう作業ではないかと思っています。決して、難しい言葉、美しい言葉でなくても、今に至るまで一人一人異なる感じ方、経験をしてきた子どもたちは、それぞれに腑に落ちる自分の言葉を持っているはずです。
 こうして生まれた絵と言葉。一つ一つの作品にはその表現した子どもの深い深い物語があることがわかります。言葉や文章に表せないことを絵で表現しているからこそ、題をつける時には時間をかけて作品(自分)と向き合ってほしいのです。(図工専科)

【上段】
左:「ドキドキクイズ大会」、右:「雨の日の草原を空から見ると…」
【中段】
左:「朝をつくる大きなロボット」、右:「氷の国」
【下段】
左「春の花、音楽の国」、右「心の中」

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