校長コラムNO.6
優しさの物差し H29.6.2 校長
先日テレビで、発達障害学級に在籍する横浜の小学校児童についてのドキュメンタリーを視た。横浜市では、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等、特別な教育的支援を必要とする児童が、学習支援級に在籍しながら通常級の授業に通級するシステムをとっている。 その中で歴史への興味を手作りのレプリカ付き歴史事典にまとめたり、作文も文字も立派に書いたりできる5年生男子児童の語った言葉に胸を打たれた。それは、「通常級の学習に加わった時、自分の方から話しかけることが苦手のため、周りの子どもたちは、自分の方に目を向けたり、話しかけたりしてくれない。僕はここにいるんだよ、気がついてって、いつも心の中で叫んでいる。」と。 クラスの中、家族の中に目を向けてみると、心の中で同じように叫んでいる子どもは意外に多いのではないだろうか。足が速い子、授業中によく発言する子、明るく元気でクラスのリーダー的存在の子のことは誰でもすぐに目が行く。でも、目立たないけれど素敵なところを見つけることが人間の才覚である。掃除の時間中、黙々と一生懸命に雑巾がけをしている子、誰かが落とした消しゴムをそっと届ける子、また、優れた答えを見つけて発表しようと顔を上げても、周りの雰囲気にのまれて半ば挙げかかった手を人知れず下ろしてしまう子も…。 「遊ぼう!」と言いたいけれど、その勇気が出せなくて困っている子や、「話したい!」と心で叫んでいても不器用でそっけなくしている子、転入してきたばかりの子等々に、近寄って笑顔を向けるだけでも、どんなに相手は救われるだろうか。一人ひとりの温かさと優しさの物差しを伸ばしていきたい。 |
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