全校朝会(校長講話)

「生きていることに感謝」
                                    
 1月もあと数日で終わってしまいますが、1月の『人格の完成を目指して』のテーマは、「感謝」です。多くの人は自分以外の人と関わり合って生きていきますから、日々自分の知らないところで自分を支えてくれていることに気付き、「ありがとう」という謝意の気持ちを持つことは大切ですね。

 今日は少し大きな視点に立って、「自分が今生きていることに感謝」ということについてお話します。

 私がその友人と会ったのは、高校入学の時でした。入学式の時も、入学写真を撮る時もマスクを外さない彼女を、最初は「少し変わった人だな」と思っていました。その後、彼女が大変難しい病気にかかっており(頬の骨が溶けてしまう病気)マスクを外すことができないこと、実は私たちより1歳年上で、病気のために1年間中学校に通うことができずに、病院のベッドの上で必死になって勉強し、1年遅れて高校に入学してきたことを知りました。

 彼女は念願の高校に入学し、1学期の間は学校に通っていましたが、2学期からは体調が思わしくなく、通学することができませんでした。高校は義務教育ではありませんので、出席日数が足りなかったり成績が思わしくなかったりすると進級できません。彼女は、2年生に進級することはできませんでした。その後も彼女は高校に通うことはできず、私たちが2年生になった秋に亡くなりました。

 彼女が亡くなった後、彼女がずっと綴っていた日記が本になりました。そこには、彼女が元気なったらやってみたいこと、叶えたい将来の夢がたくさん書かれていました。同時に「自分から命を絶とうと思っている人、なんてもったいない!私にその命をください。私の願いは生きることです。」という彼女の心の叫びも書かれていました。

 人は、生きていればどうしようもなくつらいこと、悲しいこと、避けて通りたいことに直面することもあります。私はそんな時、いつも彼女のことを思い出して自分を奮い立たせます。

 皆さんも、今ある『命』が当たり前にあることだと思わず、今生きていること、生かされていることに感謝し、大切にしてほしいと思います。同時に他人の『命』も大切にできる、そんな人になってほしいと思います。
                      校長 山村 恵子

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