休校日記 30号

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【フランス人の箱】

私の好きな話の中に「フランス人の箱」というものがあります。これは、私の高校の先生に教えて頂いた話ですが、おもしろかったので、生徒の皆さんにもお伝えします。

まだ日本という国が近代国家としての歩みを始めたばかりの頃、様々な工業や科学技術はイギリスやフランスを始めとした西洋諸国から輸入されていた。
さて、そうした技術の中に発電技術も含まれているのだが、日本の技術者はフランス人の技術者から教えを受けることとなる。装置や回路の説明は複雑で難解なものであったが、日本の技術者たちは必死に勉強し、ついに自分たちだけでその装置を稼働させることができるようになった。しかしただ一つ、彼らにもわからないものがあった。発電装置の中に設置されている弁当箱ほどの箱、中身は実に複雑な回路が組んであり、フランス人の技術者は「絶対にそれには触らないこと、修理・解体も全てフランスがやる。新しく発電装置を作るのなら、フランスにその箱を注文してくれれば設置しに来る」と言い残して本国へと帰っていった。以降、箱以外の部分は日本でも作れるようになったが、謎の箱だけはフランス人技術者に頼んで、高い料金を払って設置してもらっていた。謎の箱は発電の過程において一体何の役割を果たしているのか。
日本人の技術者の一人が発電に関する勉強を必死で続けていく中に、ある一つの結論にたどり着いた。・・・この箱がなくても発電はできるのではないか?先輩技術者や周囲の人々は彼を止めたが、その技術者は箱を設置しないままで発電装置を稼働させた。結果は成功。箱は何もしていなかったのである。皆はフランス人技術者に金をだまし取られていたことに憤ったが、同時に喜びもした。日本人が始めて自分たちの力だけで発電装置を完成させた瞬間でもあったからだ。

世の中には「フランス人の箱」がたくさんあります。テレビ、マスコミなどで紹介されている流行、価値観、全く中身のない空箱をありがたがり、時間・労力・お金を費やすことも多い。それでは何が本質で何が空箱なのか、書いている私自身もわかっていないところでもある。だからもっと勉強しようと思うし、生徒の皆にも勉強をしてほしいと願う。話中の日本人技術者のように、その「ものの本質」は、自分の力で必死に勉強してこそ見えるものなのだろうと思うのだ。勉強自体がいらないものなのでは・・・なんて思っている人も、ぜひ、必死に勉強してあるものの不必要性を述べるに至ってほしい。

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