国語科から上祖師谷中学校の生徒の皆さんへ文章を読んで考えるということは、感性を磨くきっかけにもなります。 短文ですので、ぜひ読んでみてください。 十代の頃からたくさんの文学に触れる体験は、人生をどこまでも豊かにしてくれるー。子どもの頃に大量の本を読み、大人になってからは投資家として「人を見極める」経験を重ねてきた私は、そう強く確信しています。 文学で描かれるのは人間そのもの。決してキレイには割り切れない、矛盾した感情の複雑性や両面性を垣間見るごとに、「人を複眼的に見て、寄り添える力」が養われたように思います。 「人に優しくありなさい」と教育するためには、ただその言葉を繰り返すのではおそらく足りない。さまざまな立場の人間の背景や内面を知る体験が不可欠だと私は思います。文学はその役割を担うはずです。物語という、心躍らせる引力に乗せて。 そして、文学によって磨かれる“共感力”は、そのまま“稼ぐ力”と直結します。なぜなら、世の中のビジネスというものはすべて、人が心から満たすことで成り立つからです。世界の名だたる企業の経営者の多くが読書家であり、独自の哲学を語れる教養を身につけていることも、それを証明しています。 教室で文学に出会う経験は、世界を無限に広げる入り口。せっかく同じ作品を皆で読むのですから、何をおもしろいと感じたか、ぜひ語り合ってほしいと思います。そこに正解は決してなく、完成の違いを認め合える時間こそが尊い学びになるでしょう。 投資家 藤野英人 |
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