(2)「9月始業・入学」について
急浮上した感のある「9月始業」案。国レベルでも議論が始まっています。保護者の皆様のお立場からは、果たして子どもたちにメリットなのかデメリットなのかが見えづらく、さらに不安が増しているのではと考え、今回校長としての考え方をまとめてみました。
私は「9月始業・入学」は将来的に導入すべきだと思っています。しかし今回の感染症対策とは別問題として考える教育課題だと考えています。 まず学校レベルでの問題点です。今、教職員は6月再開に向けて、授業計画見直しに全力を挙げています。さらに3ヶ月延長となった場合、授業計画よりもむしろその間の生徒の心理面でのサポートを最優先に切り替える必要があります。半年間学校に通わなかった生徒に対して、集団への適応など授業以上の配慮が必要となってきます。 さらに来年の9月に卒業後の出口がしっかりと約束できているのかも見えません。今は入口の議論だけですが、出口をまず担保してから入口の議論に移らなければ、進路指導が混乱します。進路指導は年間計画に基づき地道に積み上げていくものです。ゴールが定まらない中での計画はあり得ません。 国レベルでの問題点は、グローバルスタンダードが理由として挙げられていることです。今の世界情勢を見て、なぜ留学時期が理由となるのかがわかりません。まずは国際間の交流が安定する見込みがたってから、この理由での導入を考えなければ、卒業後に海外留学の受け入れ先が制限され、学ぶ場がない状態であると、子どもたちに対して無責任な施策となります。 今、最優先に考えるべきは「9月始業」ではなく、6月再開に向けて教育現場が全力を傾けることです。そして、学習内容の何を優先し、何を精選するのかを明確にすることです。その上で例えば入試問題は中学2年生までの学習内容を出題のベースにするなどの方向性を打ち出せば、生徒も学習の焦点化ができ、家庭学習への意欲も湧いてくると思います。 一人の校長の発信には限界があります。しかし、生徒たちの状況を見ていて、上からの指示待ちではご家庭の不安をさらに増すばかりだと思い、微力ながら訴えてまいります。スピード「感」を持って、ではなくスピードを持ってです。生徒たちの不安解消のため、今後も様々な機会をとらえて、発信し続けたいと考えています。 砧中学校 校長 建部 豊 |
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