提案型の学校へ part1![]() ![]() 今年度、教育計画を大きく変更する中で、生徒たちの意見を反映させていく場面が多く見られました。学校評価においてはこれまで砧中学校は教員主導による教育活動となっているのでは、という声を頂戴しておりました。そのため2年ほど前から生徒による生徒のための自治活動を目指し、例えば運動会後の振り返りのためのイベント開催や生徒会掲示板による生徒の意見表明の場の設定などの取り組みが行われるようになっていました。今年度の牛乳紙パックリサイクル活動も、生徒たちが自らの問題として取り組みを具体化させていったものです。 一方で、生徒が提案すれば何でも実現できるものではありません。大人社会でもそうですが、例えば新入社員の提案がすぐに通るような組織はありません。提案には責任が伴います。複雑な社会構造の中で、総論賛成・各論反対の論議は必ず発生します。様々な利害関係の調整を図りながら、提案を具体化していくものです。2年前の運動会後のイベント開催案についても、当時の生徒会本部役員は7〜8回案を練り直して職員会議への提案に漕ぎ着けました。そこに至るまでには数ヶ月を要しました。生徒の意見だから何でも通すという発想は、逆に生徒を一人の人格として尊重していることにはなりません。その提案にはどういった矛盾が生じるのかをしっかりと生徒に示しながら、教員もともに試行錯誤する過程こそが、教育だと考えています。 現在も生徒を中心とした様々な提案が予定されています。昼休みの校庭での怪我の多発を受けて、教員が注意したり何らかの制約を課すだけでなく、どんな仕組みづくりをすれば怪我の防止に繋がるのかを体育委員会中心に検討しています。更には3年生からは現在行われている体育着登校を、後輩たちのためにコロナ収束後も継続できないか、という提案があります。これは今後砧中学校の標準服(制服)をどうしていくのか、という議論にも波及していくものです。3月に予定されている学校運営委員会や学校協議会での議題として話し合う予定です。 提案型の学校を目指していくことは簡単なものではありません。それでもその提案を通して、生徒も教職員も社会の複雑さを理解し、利害関係の調整を図る経験から、「提案力」「問題解決力」を磨いていくことができるよう願っています。 校長 建部 豊 |
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