質問力と回答力生徒総会に向けての取り組みは、既に1ヶ月以上前から進んでいました。全ての生徒が各委員会の活動方針案をまとめた議案書を読み込み、事前に質問を提出し、担当生徒が総会当日までにその質問に対して回答をまとめていきます。事前に質問する仕組みは、回答に正確性を期すために一定期間を設けるという考え方がベースにあります。総会当日に質問する仕組みを取り入れている学校もあります。確かにその方が議論が盛り上がり、ダイナミックであるという見方もできます。一方で質問に対する回答をその場で行うことから、表面的な受け答えに陥る可能性もあります。どちらの仕組みにもメリットとデメリットがありますが、砧中では事前に質問をし、時間をかけて回答を練り上げ、その正確性・実現性を向上させるという方法を採っています。 今回、生徒会本部に対する質問を受けて、役員の生徒が直接世田谷区教育委員会に問い合わせを行い、助言を受けるという場面がありました。回答をまとめるにあたって、なぜそういった回答に至ったのか、その根拠を明らかにしたいという考えからです。その助言を基に法令上の問題点などを整理していました。ある意味手間のかかる作業と言えます。しかし思いつきではない熟考した回答をすることで、少数意見としての質問を尊重する姿勢であるとも言えます。 集団が何かの意思決定をするためには、多数・少数それぞれの意見を尊重して、その決定の精度を向上させることが求められます。誰かが考えればいいというお任せではなく、一人ひとりが参画意識を持って議論を進めていく。質問する側は個人的な損得を越えて、集団全体の利益を視野に入れながら質問する。回答する側は自分たちの提案が反対されたという感情論ではなく、根拠を明らかにしながら説明責任を果たす。まさに生徒総会は、運営する生徒たちの自治力が試される場でもあり、また教員にとってはこれまで行ってきた教科の学習や特別活動の質が問われる場でもあります。 感染症拡大が懸念される中にあっても、生徒会活動の意義を改めて生徒・教職員が共通理解し、より自治活動が活性化されるよう生徒たちを支援したいと考えています。18歳選挙権を契機として、主権者教育の重要性が全国的に指摘されている中、今週の生徒総会が授業とは別の意味での有意義な学びの機会となりますことを心から祈念しています。 砧中学校 校長 建部 豊 |
|