学校日記

全校朝会(12月5日 学校長の話)

公開日
2011/12/05
更新日
2011/12/05

今日のできごと

イグ・ノーベル賞

 少し前の新聞で、「ワサビで火災警報器 笑える考えるイグ・ノーベル賞」という記事を見つけました。イグ・ノーベル賞は、アメリカの科学雑誌編集者のマーク・エイブラハムズさんが1991年につくりました。「イグ・ノーベル」とは、英語のignoble (おろかな)とノーベル賞をかけ合せた言葉だそうです。人を笑わせ、そして考えさせてくれるユニークな研究などに贈られる賞です。実際は、おろかではなく、とてもすばらしい賞です。(きっとマークさんは、ユーモアのある人なのではないかと思います。)ノーベル賞の受賞者も選考委員になっていて、医学賞・生物学賞・化学賞・平和賞など十件前後を選びます。世界中から数千通も推薦が寄せられるそうです。
 今年の化学賞の受賞は、ワサビのにおいで耳の不自由な人に、火災を知らせる警報装置を開発した、香りマーケティング協会理事長の田島幸信さんたち7人です。
 田島さんたちは、「耳の不自由な人に、音や光ではなくにおいで知らせる装置が作れないか」という思いから研究をはじめたそうです。高さ20センチほどで、スプレーが吹き出すための穴があいています。装置に内蔵するスプレーをふたに軽く吹き付け、顔を近づけるとワサビ特有の鼻がつーんとする刺激があります。でも、これは、ワサビをすったのではなく、化学的に合成した匂いだそうです。(ちなみに、火災警報器は音で知らせるタイプしか法律で認められていないそうで、この警報器は音のでる警報器から電気信号をもらってスプレーを吹き出す仕組みになっているということです。)
 人間が感じ取れるにおいは、約1万種と言われていますが、田島さんたちは、最初レモンやローズマリー、くさった卵、玉ねぎなどいろいろ試し、4年かけてワサビが1番いいと決めました。大学の先生とワサビスプレーを噴射する機械を準備して実験をしました。そして、実験が成功して警報装置が発売されました。
「研究は、仕事のかげでコツコツと続けました。やめたければいつでも止められました。楽しかったのと耳が聞こえない人の役に立ちたいという目標があったからこそ続けられたし、こんな楽しい賞もいただくことができました。」と田島さんは語っています。仕事の他に、人の役に立ちたいという目標を楽しみながら続けることができるということは、とてもすてきなことだと思いました。
 このイグ・ノーベル賞は今まで、日本で16件も受賞しているそうです。「たまごっち」、犬語翻訳機「バウリンガル」、カラオケ発明なども受賞したそうです。今日は、イグ・ノーベル賞のお話でした。