学校日記

祝 卒業

公開日
2021/03/21
更新日
2021/03/21

できごと

日曜日の今日、3年生の昇降口前には、9期生のみなさんの門出を祝う祝電が飾られています。しばらくはこのまま掲示しておく予定です。式の当日「時間がなくて読めなかった」という9期生がいたら、来てください。その前の椅子には、キャラクターたちが花を持って待っています。

卒業式 式辞

 ここ数日の昼間の春の陽気に誘われるように、校庭の桜の蕾からひとつ、またひとつと花が咲き始めました。
まずは世田谷区立船橋希望中学校を巣立つ二百三十五名の第九期生のみなさん。卒業おめでとう。昨年の三月以来、ずっと九期生の鼻から上の表情しかを見ることができなかったので、いま卒業証書を渡す時、久し振りに皆さんの素顔を正面から見ることができて本当によかったと思っています。マスクで少し見えなかった間に、ずいぶん成長しましたね。
 
 私から皆さんに贈るメッセージについては今週、特別授業という形で伝えました。太平洋戦争に参加した私の父の生涯を通して、人間が生きていく上で大切なもの、それは、自分が今置かれている状況を冷静に判断する力と最後の最後まであきらめない気持ちであることを伝えさせてもらいました。
 特に今、私たちが直面しているウィルスとの戦いでは、形は違えど、戦争という極限状態にあって命を保つことができた父親の生きざまが参考になると思い、今年はクラスごとに授業をさせてもらいました。
 そして、今日この卒業式でもうひとつみなさんに伝えたい言葉があります。それは
『努力しても それが必ずしも報われるとは限らない。
    しかし、努力した事実と経験は生涯消えることはない』
 みなさんは人生百年時代を生きていける世代ですから、あえてこの言葉を贈ります。
私が教師に成り立てのころ、副校長先生に「若いうちの努力は買ってでもしなさい」と言われました。当時は素直に聞くことができませんでした。「今でも授業に放課後指導、土日の部活で苦労して努力しているのに、これ以上努力することに時間かけたら身が持たない」と思ったからです。
 しかし、あれから三十六年たった今、振り返ると、その時の努力や苦労は全てが身を結んでいるわけではないけれど、思い出として嫌なものかというと決してそうではありません。
 人間は、努力や苦労をよい思い出に変える力をもっています。そしてその力は、年齢を重ねるほど強くなります。
 あと十年後、二十五歳ではまだまだ努力と苦労の連続でしょう。三十年後、ちょうど四十五歳くらいになると「これが報われていることかな」と少し分かってきます。五十年後の六十五歳では苦労も苦労と思わなくなる力が備わります。そんな先まで考えられない、と思っている人。大丈夫です。人生百年世代のみなさんは、そこからまだ三十五年も生きることができますから安心してください。
ひたむきな努力をすることは、この三年間でしっかり身についているフナキボ生は他の中学生よりも苦労と思うことは少ないと思います。
 ですから、自分を大切しながら百年後を目指してこれからを生きていってください。

 さて、会場にいる保護者の皆様。本日はお子さまの卒業おめでとうございます。入学以来この三年間、PTA活動や地域での活動、行事や部活動への応援など、様々な形で学校の運営にご協力と応援をいただきました。特に最後の一年間は感染症対策と平行した教育活動のため、急な予定の変更や中止など、十分な説明ができないまま様々なお願いをすることになり、大変なご心配をおかけしたことを申し訳なく思っております。それにも関わらず、学年だよりの返信欄などで温かな励ましのお言葉をいただきました。この陰ながらの応援こそが、船橋希望中の宝物だと思っています。このご支援があったからこそ、船橋希望中学校の教職員も自信をもって教育活動に当たる事ができました。全教職員を代表して心から、感謝を申し上げます。
 今日は、保護者の方の人数を制限させていただきましたが、この会場に来ることができなかったご家族の方にもぜひ感謝の気持ちをお伝えくださいますよう、お願いいたします。

以上、卒業式式辞といたします。   船橋希望中学校 校長 菅野 茂男