今日の一冊 その2
- 公開日
- 2020/05/07
- 更新日
- 2020/05/07
できごと
こんにちは。汗ばむような日差しですね。寒暖差が激しいですが、体調に気を付けて過ごしましょう。
さて「今日の一冊」の二冊目は森見登美彦さんの「熱帯」です。この本は、2019年の本屋大賞で4位を受賞しました。また、第160回直木賞の候補作にもなりました。みなさんにとっては映画「ペンギン・ハイウェイ」の原作者と言えば、馴染みがあるでしょうか。
この物語は、最後まで読み切った人がいないという謎の本「熱帯」にまつわるお話です。
森見登美彦(作者本人が登場)は、最近全く筆が進まないスランプ状態でした。そんなある日、昔読んだ「熱帯」という本のことをふと思い出します。この本はある日煙のように手元から消えてしまったのです。その本のことを旧友に話すと、「沈黙読書会」というあやしい会に誘われます。そこで出会った女性の手元にはあの「熱帯」がありました。
ジェットコースターのような展開にグイグイと引きずり込まれます。この物語は「千一夜物語」(アラビアンナイト)を元にしており、語り手の語りの中の人物が次の語り手となり、その語り手の語りの中の人物が次の語り手となりという、非常に複雑な構造になっています(入れ子構造といいます)。
みなさんも登場人物たちと「熱帯」の謎を解き明かし、最後まで読み切ることができるのか。チャレンジしてみて下さい。(岡崎)