学校日記

全校長会での学校長の話

公開日
2014/12/01
更新日
2014/12/01

26年度できごと

12月1日
 いよいよ12月。今年最後の月になりました。
 ところで今日、12月1日は「映画の日」です。いまから118年前の明治時代に日本で初めて映画が上映されました。はじめは外国映画でしたが、その3年後には日本人俳優が出演した初めての映画ができました。

 さて、俳優といえば、先月10日に高倉健さんという世界的にも名が知られている俳優さんがなくなりました。テレビや新聞のニュースでもかなり話題になっていましたね。しかも、そのニュースが流れた時には、すでに家族だけでお葬式を済ませたあとだったのです。「世界的に有名な俳優なのに、なんで」とみんなが思ったのですが、その理由が「みなさんにご迷惑をかけたくないから」と本人が言い残したそうです。それだけでもまじめでいばったりしない人であったことがわかります。

 実は、高倉健という人は若いころ大きな映画会社からたくさんの映画に出てください、とお願いされ、お金もたくさんもらっていました。しかし、映画の中での役が「やくざ」という、仲間同士で争いごとをして、ひどい仕打ちに耐え、最後はがまんできず復讐をするためにその人を殺して終わる、という内容のものばかりでした。この役は「自分らしくない」と思い始め「この役のまま俳優続けてお金をもらっていると人としてだめになる」と思い人気絶頂の時に会社をやめてしまったのです。そして、自分の考えとか生き方がそのまま画面にでるような映画に出ようと決心しました。

 映画の中で高倉健のセリフはとても短いです。でも、しぐさや表情で映画を見ている人に気持ちを伝えようと努力していることがよくわかります。例えば、刑務所から6年ぶりに出てきた後に街の食堂で注文したカツ丼とラーメンを食べるシーンでは、本当に久しぶりに好きなものを食べる感じを出すために、2日間食事を抜いて撮影にのぞみました。訓練の為に冬山に入って遭難する軍隊のリーダー役では、映像がうまくとれず撮影に3年間もかかってしまったそうです。吹雪の撮影があまりにも大変でつらく、お金ももらえないので現場から逃げ出す人まで出ました。でも、高倉健は住んでいるマンションを売り持っている高級車も売り、生活費をやりくりして最後まで撮影を続けました。それは、「冬山の大変さは現場にいないと表現できない」という考えがあったそうです。

 たくさんの人から愛され、信用される俳優であった高倉健がもっとも大切にしたのは「自分らしさ」だったのでしょう。「自分の考えたことを大事にする」「自分の好きなことを大切にする」この2つは大切な生き方のポイントだと思います。

 今日は映画の日。大人は特別に1000円で映画館に行かれます。今日、学校が早く終わって都合がつく人はぜひお家の人と一緒に映画を見に行ってみてください。