校長室より No.2
- 公開日
- 2018/04/18
- 更新日
- 2018/04/18
校長室より
ニュースキャスターで今は亡き筑紫哲也氏がかつて講演会で何度も話されていたエピソードがあります。
テレビで台風情報を伝えていたレポーターが次のようにコメントしたそうです。
「台風は幸い関東地方を抜け、東北地方へと向かいました。」
テレビ局には苦情の電話が集中した事は言うまでもありません。
関東地方に住む人にとっては「幸い」でも、これから台風の被害が予想される東北地方に住む人にとっては受け入れられないコメントです。
筑紫氏は東京中心に発想しがちなメディア関係者に、常日頃から「他者の視点」を忘れるな、と言い続けたそうです。
本校の教育目標の一つに「深く考える姿勢を育てる」があります。
「深く考える」とはもちろん時間をかけて、慎重に吟味するということです。
その一つの試みとして、相手の立場に立って考える、という意識を持ってみてはいかがでしょうか。難しい表現を使えば「多角的な視点」を持つという言い方もできるでしょう。筑紫氏の言う「他者の視点」と共通するものでもあります。
今、社会ではSNSなどを通して、他者を非難したり、中傷したりする風潮が広がりつつあります。そんな時代だからこそ、誰かを否定するような情報に接した時、非難されている人の立場に立って、少しだけ想像力を巡らせてみてください。