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校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.4

公開日
2018/04/25
更新日
2018/04/25

校長室より

雨の朝です。

「天気の悪い中を当会場までお越しいただき‥‥」

十数年前の事です。
その日も朝から雨が降っていました。
私はある教員対象の研修会の司会をしていました。
雨の日によく使う言い回しで、
いつもと変わらず冒頭の挨拶をしました。

当日の研修会の講師の先生は金子みすゞ記念館の館長さんでした。

研修会は滞りなく終了し、私は講師の先生を控室へと案内しました。

「雨って悪いのでしょうか?」
突然、館長さんが私に尋ねました。

「受講される教員もずぶ濡れになりますからね。」
私は当然のように答えました。

「金子みすゞ先生は、自然に対して善や悪の認識はなかったようです。」

雨の日は多くの人が気持ちが暗くなる。
大雨による災害も各地で起きる。
それでも地域によっては、雨を待ち望む人たちがいる。
何日も続いた日照りの後の、恵みの雨に感謝する人たちもいる。

「雨に対する見方も、みんな違っていいと思いますよ。」

館長さんは私にそう語りかけ、静かに微笑みました。


  「お日さん、雨さん」
     
        詩 金子 みすゞ
 
 ほこりのついた
 芝草を
 雨さん洗って
 くれました。

 洗ってぬれた
 芝草を
 お日さんほして
 くれました。

 こうして私が
 ねころんで
 空をみるのに
 よいように。