校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.19
- 公開日
- 2018/06/16
- 更新日
- 2018/06/16
校長室より
あくまでも仮説としての話である。
歴史上の人物として誰もが知っている豊臣秀吉。
若き日の秀吉の出世物語は何度もドラマ化されている。
若い頃の秀吉は織田信長に見出されたように
明るく陽気で、人から好かれるタイプだった。
一方で天下人となってからの晩年の秀吉の印象は一変する。
疑い深く、怒りっぽく、近寄りがたい存在。
この性格の激変の原因は何だったのか?
NHKBSプレミアム『偉人たちの健康診断』。
(毎週水曜20:00〜)
この番組の中で、原因の一つとして食習慣を上げていた。
身分が低く貧しかった頃の秀吉は、どじょうが好物だった。
自らどじょうを捕まえてよく食べていた、と史料にもある。
どじょうは「幸せホルモン」と言われる脳内物質セロトニンの
主成分となるトリプトファンを多く含んでいる。
セロトニンが分泌されると人は幸福感を覚えると言う。
天下人となってからは、ほとんどどじょうを食さなかった。
代わりに豪勢な食事の日々。
セロトニンは加齢とともに減少する。
食習慣の変化によるセロトニンの急激な減少が、
秀吉の性格まで変化させた、と番組では仮説を立てていた。
まさに「ニコニコ秀吉」から「イライラ秀吉」へ である。
当時の多くの史料からも
秀吉が外向的な性格から内向的な性格へと
人格が変わっていったことは史実のようである。
天下統一という夢を実現した秀吉にとって、
豊臣家の存続のために
守りに入らざるを得なかったことは否定できない。
食習慣がどれほど秀吉に影響を与えたかは定かではないが、
人は夢を追い求めている時が最も幸せな時なのかもしれない。