校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.27
- 公開日
- 2018/08/05
- 更新日
- 2018/08/06
校長室より
JR東日本は8月から一部区間で
駅のホームにある発車ベル(メロディー)を取り止めた。
代わりに、
車両のスピーカーでドアの開閉を知らせる
実証実験を始めたという記事を読んだ。
目的は「駆け込み乗車」の防止。
改札口付近まで発車メロディーが聞こえることで
逆に駆け込み乗車を助長しているというのだ。
発車メロディーが鳴り、
「駆け込み乗車はおやめください」のアナウンスが流れる。
周囲の人間がドアに向かって走り始めることで
いわゆる「群衆心理」が働き、
つられて自分も走り始める。
注意を促すはずのメロディーやアナウンスが
全く逆の行動を生み出している。
🚃 🚃 🚃 🚃
アメリカ・アリゾナ州にある化石の森国立公園でのこと。
違法に化石のかけらを持ち去る客が後を絶たない。
注意を呼びかける看板を設置したが、
逆にかけらを持ち去る客が増加したという。
そこである社会心理学者が実験を行った。
公園内に、「年間14トンもの化石が損失しているため
持ち去ることを禁じる」との看板を掲げた。
一方、公園内の別の場所では看板を掲げなかった。
結果、看板ありの場所で持ち去られた化石のかけらは
看板なしの場所での3倍以上にのぼった。
14トンも年間に持ち去られているのならば、
自分一人くらい大丈夫、という群衆心理が働いたのだ。
☆ ☆ ☆ ☆
道徳の授業が変わろうとしている。
生徒に正しい行動を促すだけでなく、
自分の問題として
当事者意識をもった考える授業へと
転換が図られている。
周囲に流されてしまいがちな人間の心理。
その心理を一方的に否定するだけではなく、
それを出発点として
どう振る舞うべきか、を考えていけないだろうか。
もちろん、私たち大人も含めて。
授業の試行錯誤は続く。
※ 9月8日(土)道徳授業地区公開講座を予定しています。