校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.32
- 公開日
- 2018/09/01
- 更新日
- 2018/09/01
校長室より
私が物心ついた頃には
日曜日の朝はこのTV番組から始まるものと思っていた。
『兼高かおる 世界の旅』
まだ日本人の海外渡航が自由化されていなかった
1959年にスタートし、
約31年間続いた長寿番組。
オープニングは映画『八十日間世界一周』のテーマ曲。
ジャーナリスト兼高(かねたか)さんが紹介する
世界各地の暮らしや習慣に
私は幼心にも海外旅行の夢を膨らませていった。
✈ ✈ ✈ ✈
二十歳を過ぎて夢が叶い、初めて外国に出かけた時、
私は現地の人から厳しい指摘を受けることになる。
それは交流を目的としたパーティーでのこと。
「なぜ、あなたは自分の国の人とばかり話をするのか?」
英語に不慣れなこともあり、
気後れした私は
その会場で、つい日本人同士で固まって話をしていたのだ。
周囲を見渡すと
国籍を越えて、
積極的にコミュニケーションを図ろうとする
パーティー参加者の姿がそこにあった。
外国に憧れながらも
内向き志向となっていた私。
その時、私は日本人の英語コンプレックスは
英語力の問題だけではない、と悟った。
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兼高かおるさんのインタビュー記事を新聞で読んだ。
番組開始当時、
「外国」は日本人には
はるか遠い世界。
もちろん現地コーディネーターなどいない時代。
スタッフはご本人含めて
たったの三人。
取材は全て「アポなし」のぶっつけ本番。
危険と隣り合わせの取材旅行に出かける際には、
常に「覚悟」をしていたと言う。
兼高さんのような先人が切り拓いていったことで、
今、世界は私たちにとって身近な存在となった。
御年 90歳。
今も輝き続けるその姿に
私も内向き志向なんて言ってられない。
※ コラム欄に余録を掲載しました。