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校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.44

公開日
2018/11/24
更新日
2018/11/26

校長室より

ラジオから流れてきた曲に私は衝撃を受けた。

イギリスのロックバンドによる曲を聴いていたはずなのに
途中から日本語で歌い始めたからだ。

  手をとりあって このまま行こう
  愛する人よ   静かな宵に
  光を灯し    愛しき教えを抱き

それが、40数年前の私とQueen(クイーン)との出会いだった。
曲名はローマ字表記の『Teo Torriatte(手をとりあって)』

しかしタイトルをよく見ると違和感があった。
なぜか「r」が重なっているのだ。
これはボーカルのフレディ・マーキュリーが
強く望んだためだと言われている。

日本語を交えて歌うイギリスのロックバンド。
私は次第にそのバンドの曲に魅了されていった。


  🎸    🎸    🎸    🎸


クイーンは当初、
本国イギリスではほとんど受け入れられなかった。
その音楽性を最初に見出だしたのは
日本のロックファンであった。

そのため1975年初来日以降、
クイーンは自分たちを評価した日本のファンに
感謝の気持ちを表し続けた。
フレディ・マーキュリー自身も大の親日家で知られる。

1991年11月24日
そのフレディ・マーキュリーがこの世を去る。
奇しくも今日は彼の命日である。

東日本大震災が起こった2011年3月。
震災直後からクイーンの『Teo Torriatte(手をとりあって)』が
多くの動画で流された。
発売から35年の時を経て
甚大な被災をした日本を励ます曲として。


  🎹    🎹    🎹    🎹


『Teo Torriatte』

なぜ、フレディは「r」を重ねることを望んだのか?

もしかしたら「r」の文字は
人がお辞儀をしている姿を表しているのではないか。
日本人の最も美しい所作と言われるお辞儀。
相手を重んじ、心からの感謝を表すお辞儀。

だから日本への感謝の気持ちを込めて
フレディは「r」を二つ重ねたのではないか。

そんなふうに想像を巡らせながら
『Teo Torriatte』をしみじみと聴いた。