校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.61
- 公開日
- 2019/03/16
- 更新日
- 2019/03/16
校長室より
長崎県五島列島、その小さな島の中学校に
一人の音楽教師が赴任するところから物語は始まる。
映画『くちびるに歌を』(2015年)。
教師の名は柏木ユリ。
合唱部顧問となった彼女はしかし、
部員たちと距離を置こうとする。
ピアノを一切弾こうとせず
心を閉ざし続ける。
彼女は誰にも話せない過去を背負っていたのだ。
十五歳の合唱部員たちもまた
それぞれが誰にも言えない悩みを抱えている。
ある日柏木先生は
県の合唱コンクールの課題曲にちなんで
部員たちに宿題を出す。
十五年後の自分に宛てた手紙を書くようにと。
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その課題曲『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』
アンジェラ・アキが2009年にリリースした曲。
映画のストーリーもまたこの曲をモチーフとしている。
歌詞の中で十五歳の僕が十五年後の自分に手紙で問いかける。
" 今 負けそうで泣きそうで 消えてしまいそうな僕は
誰の言葉を信じ歩けばいいの? "
そして、十五年後の自分からの返信。
" 今 負けないで泣かないで 消えてしまいそうな時は
自分の声を信じ歩けばいいの "
そして大人なった僕もまた新たな悩みと向き合っている。
" 大人の僕も傷ついて眠れない夜もあるけど
苦くて甘い今を生きている "
映画の中で傷ついて将来に不安を抱える十五歳の部員たち。
そして大人である柏木先生もまた
心に傷を負っている。
" いつの時代も悲しみは避けては通れないけれど
笑顔を見せて今を生きていこう "
映画のラストシーン。
県大会で合唱部が披露する
『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』
それぞれの思いを込めて歌うその姿に、
自然と涙が頬をつたう。
しかし、映画には
もう一つのクライマックスが用意されている。
信じ続けることの大切さを私たちに教えてくれる
素晴らしいラストが・・・
〜 Keep on believing 〜
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砧中学校3年生による「十五歳の主張」。
生徒一人一人がこれまでの自らを振り返り、
今、自分が考え感じていることを
自分の言葉で披露した。
私から提案が一つ。
十五年後、この主張を読み直してみてはいかがでしょう。
十五歳の自分が何を考え、何を感じていたのかを
十五年後の自分としてもう一度振り返り、
十五年間の歩みを見つめ直し、
次の十五年に向けて一歩踏み出すきっかけとしてみては。
このコラムの最後に
十五歳のあなたと
十五年後のあなたに
歌詞の言葉を心を込めて。
" 拝啓 この手紙読んでいるあなたが
幸せな事を願います "