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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.77

公開日
2019/07/14
更新日
2019/07/14

校長室より

かつて家の中に「お茶の間」があった。
家族そろって食事をし
家族そろって一日の出来事を話し
家族そろって同じテレビ番組を観た。

お茶の間で家族そろって観ていたテレビ番組の一つ。

『大草原の小さな家』

アメリカのテレビドラマ。
西部開拓時代(日本では明治の初め頃)、
両親と三人の幼い娘のインガルス一家。
家族が力を合わせて、様々な苦難を乗り越え、
大自然の中で生きていく姿が描かれる。

働き者で頼りになる父さん、チャールズ
凛(りん)として優しい母さん、キャロライン
三人姉妹メアリー、ローラ、キャリー。
姉妹の長女メアリーと同世代だった私は、
インガルス一家に理想の家族像を見ていた。

毎回のエピソードは
決して押しつけがましいものではない。
見終わった後には、
心の中がきれいに洗われたような気分になった。

ある回での父さんと次女ローラの会話。

流れ星に願い事をしようとしたローラ。
しかし、願い事を祈る前に
流れ星が消え去ってしまった。
がっかりするローラ。
その時、父さんがローラに語りかけた。

父さん「願い事をどうぞ。
    父さんは欲しいものは全部持ってる。」

ローラ「流れ星を見ないと(願い事が)出来ないでしょ?」

父さん「父さんが見た分をあげるんだ。」

父さんに抱きつくローラ。

私は心の中でいつしか
自分もチャールズ父さんのようになりたい、と願い
優しさこそが「かっこいい」のだと教わった。

ドラマの毎回のエピソードに
必ず描かれる一家団らんの場面。
父さんの弾くバイオリンに合わせて
姉妹は手をとってダンスを踊る。
それを優しく見守る母さんの笑顔。

ふと自宅の「お茶の間」と
インガルス一家のそのシーンが一つとなり、
この時間がいつまでも続きますように、と
心に願っていたあの頃。

ドラマは9年間続き、
世界中で愛されるホームドラマとなった。

ドラマ終了から7年後の1991年、
世界中から「父さん」と慕われた
チャールズ役のマイケル・ランドンが亡くなった。
享年54歳。


この春からNHKのBSプレミアムで
毎週土曜日朝8時30分より
『大草原の小さな家』が再放送されている。

その放送を久しぶりに観た。
懐かしいオープニング。
当時と変わらないインガルス一家。

唯一変わったのは
その番組を観ている私なのかもしれない。

ふと気がつくと
子どもたちからの視点ではなく
チャールズ父さんの視点から
「優しさ」とは何かを考えている自分がいた。