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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.104

公開日
2020/01/03
更新日
2020/01/03

校長室より

タレントのウエンツ瑛士さん。
現在、日本での芸能活動を休止して
イギリス・ロンドンで
英語と演劇を学んでいる。
父はドイツ系アメリカ人、
母は日本人である。

彼のコンプレックス、
それはその容姿に反して
英語が喋(しゃべ)れなかったこと。
周囲からその事でからかわれもした。

しかしロンドン留学後、
逆の体験をしたという。
同じように留学している日本人は
東洋系ということで何らかの差別を受けている。
しかし、彼は留学後そんな経験が一切ない。
きっとこの容姿が理由でしょう、と彼は話す。

🇬🇧

ブレイディみかこ 著
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
イギリス在住の著者。
アイルランド人パートナーとの間の
イエローでホワイトな一人息子との
中学校入学後の出来事を綴(つづ)る。

見た目から東洋系とわかる著者と息子。
EU離脱問題で分断がすすむイギリスで
根深い偏見や差別に直面する。
しかし、その偏見や差別の背景には
差別する側も貧困によって
同じように差別されているという
複雑で重層的な問題が横たわっている。

母子は時にはブルー(憂うつ)になりながらも
持ち前の前向きさで
周囲との関係性を築いていく。

著書の中で「empathy」という言葉が紹介される。
かわいそうな人を見れば
誰もが「sympathy」(同情、共感)を感じる。
しかし「empathy」は
かわいそうな人でなくても
例えば自分と意見や考え方が異なる人に対しても
その人を尊重しようとする能力のことである。

母子の会話から

母「多様性ってやつは、喧嘩や衝突が絶えないし、
そりゃないほうが楽よ」

子「楽じゃないものが、どうしていいの?」

母「楽ばかりしていると無知になる」

🇪🇺

先日、新聞の投書欄を読んでいて、ハッとした。
アメリカ在住の大学講師である投稿者。
日本に一時帰国した際に
メディアなどに溢れる
「ブラック○○」「ホワイト○○」という言葉に
強い違和感を覚えたという。

様々な肌の色の人たちが暮らすアメリカ社会で
色によるイメージの伝え方には配慮が必要なのだ。

「多様性の時代」と言われる。
〜 多様性 〜
私自身、何となくわかった気になっていた。
多様性は決して美辞麗句ではない。

🎵
生まれたところや
皮膚や目の色で
いったいこの僕の
何がわかるというのだろう

(THE BLUE HEARTS 『青空』より)