話す言葉と聞く言葉
- 公開日
- 2020/08/01
- 更新日
- 2020/08/01
おしらせ
昨日、終業式があり、1学期の教育活動をほぼ計画通りに終えることができました。保護者の皆様のご協力に改めて感謝申し上げます。私たち教職員にとっても経験したことのない初めての事態の中、手探りの日々でしたが、生徒たちの学習等に向かう真摯な姿勢に、逆に元気をもらいながら、一日一日の教育活動を着実に行っていくことができました。
夏休み中も教育相談や自学タイム、部活動など引き続き教育活動が行われます。いつでも学校までご相談ください。2学期も笑顔での再会を楽しみにしております。
終業式の校長メッセージから(抜粋)
私が小学6年生の時、クラスメートのA君と大喧嘩になった。感情的になった二人はお互いを罵(ののし)り合い、相手の人格を傷つける言葉を投げつけた。仲裁に入った担任の先生が私たちを別室へと連れて行き、二人を座らせると、おもむろにテープレコーダーを取り出した。
「さっきA君に言った事をもう一度言ってみなさい」
先生は私にマイクを向けて、先ほどA君に投げつけた言葉を私に再現させた。A君にも同じように促した。二人の言葉を録音し終えると、担任は私たちにこう言った。
「自分が放った言葉を、自分に向けた言葉として聞きなさい」
私はA君に向けた言葉を、自分に向けて聞くことになった。テープから流れる自分の言葉が、自分ではないように思えるほど、私の言葉は激しいもので、恥ずかしくなるほどだった。A君も同じ思いのようだった。私はその言葉の酷(ひど)さに耐えられなくなり、途中で再生を止めて欲しいと先生にお願いした。
教員の道を選んだ私は今も、当時の担任の指導を忘れたことがない。話す言葉と聞く言葉、同じ言葉でも全く違うことを教えてくれた。話した言葉は宙へと消えていく。しかし聞く言葉は自分の胸に刺さったままなのだ。