校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.170
- 公開日
- 2021/04/10
- 更新日
- 2021/04/10
校長室より
No.170【「悩む」と「考える」】
自分には友だちがいない、
生徒からそんな相談をよく受ける。
私は尋ねるようにしている。
「なぜ友だちがいないとだめなの?」
ほとんどの生徒がこう答える。
「一人だと恥ずかしいから」
そこで私は再び尋ねる。
「自宅では一人でも大丈夫だよね」
生徒が答える。
「学校だと周囲が冷やかすから」
そう、そうなんだよね。
一人が嫌な訳じゃない。
周囲から冷やかされる事が
本当は嫌なんだよね。
冷やかされたくないから
友だちがいないとだめなんだ。
冷やかされたくないために
つくる友だちって何だろう?
🏫
哲学者・池田晶子さんの著作
『14歳からの哲学』
その中で池田さんは繰り返す。
「悩む」のではなく
「考える」んだと。
「悩む」時、人は
同じところをぐるぐる回るだけ。
「どうせ」と自分を決めてしまい、
どこかで諦(あきら)めているのだ。
「考える」時、人は
当たり前を当たり前にはしない。
「なぜ」と自分に問い続けて
新たな答えを探しているのだ。
幼い頃は世の中の不思議さに
「なぜ」と問いかけていたのに、
中学生になった頃から
人は「なぜ」をあまり言わなくなる。
世の中ってこんなもんさと
自分で自分の限界を
決めてしまうようになる。
当たり前だと思っていることに
もう一度「なぜ」を突きつけよう。
すぐには答えが見つからなくても
違う景色が見えてくるはずだから。
著者の池田さんは
闘病中にこの本を執筆した。
そして本が出版された数年後
46歳の若さでこの世を去っている。
📕
それではもう一度考えてみよう。
あなたを冷やかす人のことを。
その人はなぜあなたを冷やかすのか?
それはその人が
あなたと同じように
一人になることが
怖いからではないか?
だからあなたを冷やかすことで
自分を安心させようと
しているのではないか?
冷やかす人も
冷やかされる人も
考えていることは
もしかしたら同じなのかもしれない。