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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.183

公開日
2021/07/03
更新日
2021/07/03

校長室より

No.183【立入禁止のその先】

世界遺産・富士山
その広大なる自然の一端を
移動教室では実体験する。
例えば「溶岩樹型」
流れ出た溶岩が樹木を取り囲み、
その樹木が焼失した跡の
地中にできた数々の洞窟。

そこに一歩足を踏み入れると
急に不安におそわれる。
その洞窟がたとえ観光用に
整備されたものだとしても、
快適な日常とは一線を画す
迫りくる自然に圧倒される。

ましてや立入禁止の札が掛かる
境界線の向こう側は尚更である。
そこには危険だけでは説明できない
「聖域」が広がっている。

🗻

自然と人との
境界線があいまいになっている。

先日たまたま見かけた
テレビのドキュメンタリー番組。
子熊の姿を写真に撮ろうと
観光客が立入禁止の場所、
つまり野生動物の「聖域」へと
スマホを手に入って行く。

親子連れの熊を見つけると
親熊の目を盗み
子熊にエサを与える。
近寄ってきたその子熊の
愛らしい姿を撮影して
写真を誰かに見せるために。

人の食べ物の味を覚え
人との距離感を失った子熊は
やがて成長し、
親熊となって、
人の住む街へとやって来る。

その熊を待っている運命は
「駆除」という名の殺処分である。

🏞️

移動教室中
私は思い出していた。
自分が中学生だった頃の
移動教室での出来事を。

「立入禁止」の札を見つけ、
私は冗談半分に
わざと担任教師に質問した。
「入っていいですか?」と。

理科が専門だった担任教師は
静かな口調で私を諭(さと)した。 
 
 その問いかけは
 先生に聞くことではなく
 自然に向けて聞くことです。