校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.194
- 公開日
- 2021/09/19
- 更新日
- 2021/09/19
校長室より
No.194【映画音楽は何を語るか】
映画『アベンジャーズ』
その音楽を担当した作曲家、
ブライアン・タイラーが語る。
彼は公開日に映画館へと出かける。
そしてトイレの個室へと
人知れずこもるのだそうだ。
映画が終わり、
観客たちがトイレへとやって来る。
その時映画のテーマ曲を口ずさんだり
鼻歌が聞こえてきたりすると
成功を確信すると言うのだ。
🎥
映画音楽のはじまりは
実は騒音対策だったと言う。
映画が誕生した100年以上前は
映写機の出す音に悩まされていた。
そこで館内にオルガンを設置し、
騒音を消すために演奏をしていた。
今では映画とは切っても切れない音楽。
自分が知っている映画音楽が流れると
その映画の場面はもちろんのこと、
当時の自らの思い出にも浸っている。
『ロッキー』のテーマ曲では
なぜか体にエネルギーが満ちてきて
トレーニングをしたくなってくる。
『ジョーズ』のわずか2音の高まりが
加速するエンジン音となり、
何かに追われる不安が増してくる。
船の中で『タイタニック』を聴くと
この海原は自分のためにあると思い、
つい船の先端へと向かってしまう。
そして私の一番お気に入りの映画音楽、
『ニュー・シネマ・パラダイス』。
小学生の頃から映画に魅せられ、
休日ごとに通っていた古びた映画館が
まぶたの奥に浮かんでくる。
今はもう存在しないあの映画館、
その情景を記憶の彼方に探しながら
目頭が熱くなっていくのだ。
あなたの一番お気に入りの
映画音楽は何ですか?
🛸
少年と宇宙人との交流を描いた
SF映画の金字塔『E.T.』。
ラストシーンはその宇宙人が
自分の星へと帰っていく。
繰り返されてきたテーマ曲が流れ、
観客は別れのシーンに涙ぐむ。
しかし、いざ宇宙船が空の彼方へと
飛び去っていった時、
明るくそして高らかに
ファンファーレが鳴り響く。
その瞬間観客は理解するのだ。
これは少年と宇宙人(E.T.)の
悲しい離別ではないのだと。
様々な困難を乗り越えながら
E.T.を故郷の星へと帰すという
大きな任務を達成した
少年の成長物語であったことを。
※ 参考
ドキュメンタリー映画
『すばらしき映画音楽たち』(2016年)