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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.217

公開日
2022/02/18
更新日
2022/02/18

校長室より

No.217
【『おしん』と『サザエさん』】

現在放送中の朝の連続ドラマ
『カムカムエブリバディ』
母娘孫の三世代ヒロインの
100年にわたる物語である。

今ちょうど描かれているのは
孫の世代である1983年、
将来への夢を抱くことのできない、
高校3年生 ”ひなた” のエピソード。

同級生たちが明確な将来を描き
その道へと向かって進む中、
一人取り残されて
不安を覚える ひなた。

そんなある朝、ひなたは
テレビの朝の連続ドラマで
『おしん』の第1話を目にする。

🏞️

今や伝説となった名作『おしん』
その第1話は83歳となった主人公が
これまで歩んできた自らの人生を
振り返るため列車で北へと向かう。

貧困のため学校へ通えなかった少女期、
行商をしながら家族を支えた青壮年期、
そして大型スーパーの経営者として
経済的成功をおさめた老年期。
大きな夢を叶えたはずの主人公。
しかし成功をおさめてもなお、
果たして自分の歩んできた道は
正しかったのか苦悩している。

『カムカムエブリバディ』の
主人公である ひなた も苦悩している。
何者でもない今の自分、
そして何者になりたいのかも
よくわからない今の自分。
できれば『サザエさん』のように
家族がいつまでも年をとることなく、
永遠にこのままであればと願う。

しかし現実は『おしん』のように
時は無情にも流れていく。
そして誰もが羨(うらや)む成功が
人生の幸せなのかもわからない。

83歳の苦悩と18歳の苦悩が
テレビの中で重なり合う。

🚂

1983年、21歳だった私。
『おしん』の第1話を
下宿のテレビで観ていた。
2年後に迫った大学の卒業、
その先の未来図は
全く描けてはいなかった。

少女・青壮年・老年期の三世代を
それぞれ三人のヒロインが演じ、
83歳の主人公の回想から
物語が動き始める。
当時は斬新だったドラマ展開に
のめり込んでいくことになる私。

『カムカムエブリバディ』の中で
39年ぶりに『おしん』と再会して、
その物悲しいテーマ曲に
思わず目頭が熱くなる私がいた。