学校日記

全校朝会での学校長の話

公開日
2016/09/05
更新日
2016/09/05

28年度できごと

9月5日 
 今日は、校長先生の秘密をみなさんにお話します。
その秘密とは……。 今、小学校の校長先生である私ですが…実は、小学校の時、学校に行くのが嫌で嫌で仕方がなかった時があったのです。

 それは、小学校2年生の時でした。朝、家を出るときは元気よく「行ってきます」と言えました。でも…学校が近づいて来て、学校の前の道の横断歩道を渡る頃には、もう足が重たくなってきました。そして昇降口。自分の上履きを見ると「あ〜あ。ついに来てしまった」と体と気持ちが固まります。
 なぜこんな気持ちになったのか。理由は、給食に出る食パンでした。今から50年前の食パンは今の様にふわふわしていません。特に耳が硬くて、口の中にいつまでもいつまでも残っていて、どうしても飲み込むことができなかったのです。
 給食は残さないように、と担任の先生が言っていたので、食パンが出ると、耳だけちぎってそっと机の中に隠したのです。当然、どんどんパンの耳が溜り、教科書や道具箱でギュウギュウ押し込んで「みんなに見つかりませんように。先生に見つかりません様に」と祈る様な気持ちでいましたが、ある日掃除当番の女子が、運んでいる校長先生の机を倒してしまったのです。教室中に、かちかちになったパンの耳が飛び散りました。

 その後は、もう学校にいきたくない、と思うことはなくなりました。なぜなら、カチカチになったパンの耳のことを知った担任の先生がこう言ったのです。「食パンが給食に出たら、真ん中の白いところだけ食べて、耳は布巾にくるんで持ち帰りなさい。お母さんに油で揚げてもらってちょっと砂糖をまぶせば、絶対おいしく食べられますよ」
  いつも「食べものは大切にしましょう」と言っていた担任の先生が、まさかそんなことを言ってくれるとは思ってもみませんでした。その時、「初めから、先生に相談すればよかった」と思いました。自分ひとりで、あれこれ悩んで、食パンが出る日は学校いきたくない、と思っていたことを後悔しました。
 人によって、悩み事は様々だと思います。でも、友だちから言われる言葉が嫌だ、とか、誰かにいじめられている、といったことも含め、悩んでいることがあって、それが原因で学校に行きたくない、と思ったら、まず周りにいるおとなの人に相談してみてください。担任の先生や学年の先生、以前担任だった先生、専科の先生、主事さん、栄養士さん、お話の部屋のカウンセラーの先生、校長先生や副校長先生。だれでもいいから打ち明けてみましょう。きっと解決の糸口が見つかります。決してひとりで悩まないでください。

 ちなみに今では、給食の残りを持ち帰ることは許されていません。でも、今の小学校の給食で出るパンの耳は、50年前のものとはぜんぜん違うので、校長先生はもちろん残さず食べています。