東京都におけるオリンピック・パラリンピック教育の位置づけ
オリンピック・パラリンピックは、開催都市と国に大きな社会変革をもたらし、とりわけ若者や子供たちを鼓舞し、勇気と感動を与えてきた。オリンピック憲章では、オリンピズムは、肉体と意志と精神の全ての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学であり、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとしている。そして、その目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励することを目指し、スポーツを人類の調和のとれた発展に役立てることにある。これらは、豊かな情操と道徳心、自主・自律の精神、公共の精神、伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことなどを定める教育基本法の「教育の目標」や学習指導要領の理念にも相通ずるものである。このため、東京都教育委員会は、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会を、子供たちの人生にとってまたとない重要な機会と捉え、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」を全校で展開することとする。これにより、東京都の児童・生徒の良いところを更に伸ばし、弱みを克服するための取組を確実に推進し、国際社会に貢献し、東京、そして日本の更なる発展の担い手となる人材を育成していくとともに、東京2020 大会の経験を通じ、その後の人生の糧となるような掛け替えのないレガシーを子供たち一人一人の心と体に残していく。
東京都が育成をめざす人間像
「オリンピック・パラリンピックの価値・精神」及び「東京2020 大会ビジョン」等を踏まえ、本教育を通じ、次のような人間の育成を目標とする。
- 自己を肯定し、自らの目標を持って、自らのベストを目指す意欲と態度を備えた人間
- スポーツに親しみ、知・徳・体の調和のとれた人間
- 日本人としての自覚と誇りを持ち、自ら学び行動できる国際感覚を備えた人間
- 多様性を尊重し、共生社会の実現や国際社会の平和と発展に貢献できる人間
教育活動を進めていくに当たり、重視すべき3つの視点。
- 全ての子供が大会に関わる
- 全ての子供が、発達段階や興味・関心に応じて、オリンピック・パラリンピックに何らかの形で関わり、それらを通して、オリンピック・パラリンピックの価値や意義を学ぶ。
- 体験や活動を通じて学ぶことを重視する
- 子供たちがオリンピック・パラリンピックについての知識を習得するだけでなく、実際に体験や活動することを通じて学びを深めていく。
- 計画的・継続的に教育を展開する
- 東京2020大会と、更にその先を見据え、計画的・継続的に教育を展開していく。