校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.63
- 公開日
- 2019/03/30
- 更新日
- 2019/03/30
校長室より
大学生の時に
ある劇団の大道具を担当したことがある。
立て看板や舞台の装置などを製作する仕事。
華やかな舞台の陰で
観客の前に立つこともない。
いわゆる「裏方」の仕事である。
劇の終演後、
俳優たちは劇場ホールで観客を見送る。
握手を求められ、花束が手渡される。
その間、静まり返った舞台の上で、
私たち大道具は装置の片付けに取りかかる。
ある時の公演終了後のこと。
誰もいないと思っていた観客席に
初老の男性が一人だけ残っていた。
男性は舞台近くまで歩み寄り、
私たち裏方担当にこう語りかけた。
「いい舞台だったよ。みなさんのお陰ですね。」
なんだか胸が熱くなった。
🔨 🔨 🔨 🔨
書家で詩人の相田みつをさんの著書「にんげんだもの」。
その中に「おかげさま人生」という詩がある。
その詩の一節。
脇役のおかげで主役が生きる
主役ばかりじゃ芝居はできぬ
先日行われた砧中学校卒業式。
式の最後を飾る全員合唱では
会場が涙に包まれ
感動の中、幕を閉じた。
閉式後の控室前、
ある来賓の方が私に話しかけてきた。
「在校生の態度にその学校の本当の姿が見えますね。
卒業生も在校生も素晴らしかった。」
その在校生も4月には3年生と2年生。
9日には新入生を迎えることとなる。
「おかげさま人生」の中の別の一節。
後輩のおかげで先輩になれる
威張ることはないんです
🌸 🌸 🌸 🌸
さて、一年間続けてきたこのコラム、
多くの方にお読みいただき、
また多くの感想も頂戴しました。
今回のNo.63をもちまして
今年度最終回となります。
三たび「おかげさま人生」の一節
読んでくれる人のおかげで書かせていただく
このヘタな文章も
一年間私の拙(つたな)い文章にお付き合いいただきまして
心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました。