校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.110
- 公開日
- 2020/02/15
- 更新日
- 2020/02/15
校長室より
No.110【また会いましたから】
廊下ですれ違った生徒が
私にペコッと頭を下げた。
「こんにちは」 生徒からの挨拶。
実は数分前にもその生徒と
廊下ですれ違っていた。
「さっきも挨拶したね」
私がそう話しかけると
「はい、また会いましたから」
その生徒は私に微笑んだ。
数分前に会ったのだから
次は挨拶しなくていい、というルールはない。
再び会えば、挨拶すればいいのだ。
生徒の笑顔に、
私もつい笑顔になる。
🏫
〜 挨拶のできる生徒を育てる 〜
学校の教育目標でよく見かける言葉。
しかし、私は教員になった当初から
この目標には違和感を覚えていた。
「育てる」側は挨拶できているのか、と。
私が中高生の頃、
部活動の先輩などからよく叱られた。
「先輩の前でちゃんと挨拶しろよ」と。
でも「挨拶しろよ」という先輩には
「挨拶したくないなぁ…」と正直思っていた。
挨拶は「しなさい」と指示するものなのか。
教員が朝、校門前で
「挨拶の声が小さい」と指導していることにも
何となくしっくりこない気持ちでいた。
「元気よく」と言うけれど
元気が出ない時だってあるはず。
元気が出ないけれど
弱々しい声でも挨拶できれば
それはそれで素晴らしいことではないのだろうか。
少しだけ教員経験を積んだ頃から
朝、校門に立って
自分から「おはよう」と声をかけるようにした。
生徒は恥ずかしそうに頭を下げる。
声が聞き取れない時もある。
「声が小さい、元気を出せ」なんて言う必要ない。
聞き取れなくても大丈夫だよ。
その生徒は、
その生徒なりの挨拶をしたのだから。
こちらが元気に声をかければ
生徒も少しだけ声量を上げて挨拶を返してくれる。
こちらが笑顔で接していれば、
生徒の顔にも微笑みが浮かぶ。
生徒の笑顔に
私もつい笑顔になる。
🏫
廊下ですれ違った生徒。
「はい、また会いましたから」
そう、会えば挨拶すればいいのだ。
「挨拶をしっかりしよう」なんて
構える必要なんてない。
お互いが挨拶しようと思えるような
そんな学校の雰囲気こそが
きっと大切なんだろう
生徒の後ろ姿を見ながら、そう思った。