校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.117
- 公開日
- 2020/04/11
- 更新日
- 2020/04/11
校長室より
No.117【数字が示す真実】
『記者たち〜衝撃と畏怖の真実』
2019年公開の実話に基づく映画である。
2006年 アメリカ合衆国。
車椅子に乗った一人の若き兵士が
イラク戦争について議会で証言をする。
彼は原稿を読むことを途中でやめ、
戦争の現状を数字で説明し始める。
【140万】
現在、軍務に携わっている者の数
【555】
アメリカがテロ攻撃を受けてから
イラクを攻撃するまでの日数
【19】
自らが戦争に志願した時の年齢
【3】
自分がイラクに到着してから
爆撃を受けるまでの時間
【6】
自分の脊髄(せきずい)を切断した
爆弾の破片の長さ(インチ)
🗽
2001年 アメリカ同時多発テロ発生。
国民の間でテロに対する不安が高まる。
その不安や怒りを背景に
政府はテロ集団を支援する国家として
イラクを名指しする。
イラクには大量破壊兵器がある、と。
アメリカのマスコミも、そして国民も、
イラクへのアメリカ軍侵攻を支持する。
先に攻撃しなければ、
再び攻撃されるのではという不安感。
そんな中、無名のある新聞社だけが
政府の方針に反対する記事を書く。
イラクには本当に大量破壊兵器があるのか。
もしそれが真実でないとしたら
多くの命が意味も無く失われるのではないか。
しかし、テロ攻撃受けた直後のアメリカでは
憎しみが社会全体を覆(おお)っており、
この新聞社の主張は一切受け入れられない。
ナイト・リッダー社
ただ一社のみ戦争反対の記事を
発信し続けた新聞社である。
2003年、アメリカ軍、イラクへ侵攻。
社会に不安が広がり始めると
人は確かな根拠が無くても
もっともらしい言葉を信じようとする。
外部に敵をつくることで
自分たちの結束を高めようともする。
感染症不安が広がる現在もまた、
私たち一人一人の人間性が試されている。
🗽
イラク戦争の現状を表す数字は続く。
アメリカが紛争地で戦い続けている年数
【17】
イラク戦争でかかった戦費(ドル)
【2兆】
イラク戦争でのアメリカ人の死傷者数
【3万6000以上】
イラク戦争でのイラク人の死傷者数
【100万】
イラクで発見された大量破壊兵器の数
【0】