砧中TOPICSメニュー

砧中TOPICS

校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.125

公開日
2020/06/05
更新日
2020/11/01

校長室より

No.125【伝えたいメッセージ】

3ヶ月にも及んだ休校期間。
様々な人たちが
様々な手段を使って
様々な発信を行った。
その多くは励ましのメッセージ。
休校期間中の子どもたちに向けても
たくさんのメッセージが送られた。

個人的な意見となってしまうが
数々のメッセージの中で
違和感を覚えた言葉があった。
それは…
「ピンチをチャンスに」だった。

なぜ違和感を覚えたのか?

昨年度このコラムでも書いた
頑張っている人たちに
更に「頑張れ」と伝える、
そんなイメージに近かったからだ。

砧中の生徒たちは
3ヶ月間、本当に頑張った。
予定されていた活動が中止となり、
友だちに会うこともできず、
学習の機会も減少した。
それでも登校日に出会うと
笑顔であいさつをしてくれた。

「いろんな事ができずにごめんね」
そう声をかけると
「大丈夫です、頑張ります」
と答えてくれた。
その言葉に大人の方が励まされてきた。

だからこそ6月の学校再開時に
まずはじめに伝えたかったのは
「活動の機会が無くなりごめんなさい」
そして
「協力してくれてありがとう」だった。

大人だってこの先どうなるかわからない。
「ピンチをチャンスに」は
自分が自分を励ます言葉であって
誰かからの言葉ではないような気がする。

「頑張れ」も同じ。
頑張っている時に
「頑張れ」と言われると
「頑張ろう」と思える時もあれば
「これだけ頑張っているのに」と
逆に気持ちが後ろ向きになることもある。
言葉の受け止め方は人それぞれ。
伝える側も意識しなければ、と思う。

だからこそ、
再開時に伝える言葉は悩みに悩んだ。
そして、ある歌を思い出した。
2011年 東日本大震災。
多くの被災者を出した福島県いわき市。
災害後にその町を訪れ
地元の音楽ユニット「花音」が歌う
「Tear of earth」という曲に出会った。

その歌詞に込めたメッセージが
2020年の今もまた私の心に響いた。