校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.144
- 公開日
- 2020/10/17
- 更新日
- 2020/10/17
校長室より
No.144【正義が勝つために】
子供の頃に見ていたヒーロー番組。
地球を侵略しようとする悪の宇宙人と
正義のヒーローの戦いが続く。
正義は必ず勝つ、
私は決して疑うことはなかった。
その番組のある回で
まさかの出来事が起きた。
なんと正義のヒーローが
悪の宇宙人に敗れたのだ。
宇宙人に連れ去られるヒーロー。
そしてテレビ画面の下端には
子供にとって残酷な三文字が
浮かび上がっていた。
〜 つづく 〜
あり得ない展開を前に
私は心の中でなぜか
ヒーローを責めていた。
そんなに弱いヒーローなら
正義の味方なんて言わないでほしい。
続編までの一週間、
私は不安定な気持ちのまま
日々を過ごすこととなった。
📺
正しい行いさえしていれば
きっと最後はうまくいくはず、
私はそう信じて日常を過ごしていた。
正義は必ず勝つ、その思いも同じ。
ヒーローが敗れるはずがない。
そんな理不尽は絶対にあり得ない。
そう信じていた私にとって
敗れたヒーローの姿は
受け入れ難(がた)いシーンだった。
今、大人になってみると
現実の世界では
思い通りに行かないことの連続。
あの日見たヒーロー番組のように
こうなってほしいという願いは
叶わないことの方が圧倒的に多いのだ。
その事を理解した上で、
それでもいつかうまく行くことを信じ
努力を重ねていくしかないと
今の私は思っている。
📺
ヒーロー番組に話を戻す。
一週間後の続編。
敗れたと思っていたヒーローが
仲間たちの力によって復活する。
ホッと胸をなでおろす私。
そしてその方法があったのかと
子供心に感心していた。
思い通りにならない時には
一人の力だけではなく
助けを借りればいいのだと。