校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.148
- 公開日
- 2020/11/14
- 更新日
- 2020/11/14
校長室より
No.148【ラストまで駆け抜ける】
その映画を観たのは
私が20歳の時である。
その映画は評論家の間では
名作だと言われていた。
映画ファンを自称するなら
絶対に観るべきだとも言われていた。
映画ファンを自称する私は
公開中のその映画を観るために
下宿近くの名画座へと向かった。
映画が始まってしばらくすると、
私は睡魔に見舞われていた。
話の筋がよくつかめない。
脈絡のないストーリー展開。
何を伝えたいのかが全くわからない。
やっとの思いでたどり着いた
ラスト数分間のシーンに至っては
私には戸惑いと混乱しかなかった。
映画が終わり名画座を出た時、
観客たちの話し声が耳に入った。
「素晴らしい!」「感動した!」
素晴らしさや感動を味わえず
私は孤立感を深めるばかりであった。
🚀
今年の読書週間、
そのキャッチフレーズは
「ラストページまで駆け抜けて」。
ストーリーに引き込まれて
一気読みする本もあれば、
途中で挫折してしまう本もある。
特に世間から名作と言われる本で
途中で挫折してしまうと
孤立感や無力感を味わいがちだ。
ドストエフスキー、
ジェイムズ・ジョイス、
埴谷雄高・・・
私がかつてその壁を越えられず
今もコンプレックスと感じる作家。
名作を名作として理解できない私は
果たして読書好きと言えるだろうか。
それでもいつの日か
再チャレンジしたいと願っている。
途中睡魔に見舞われようが、
ストーリー展開が見えなくなろうが、
読み切ったという
達成感だけでも味わうために
ラストページまで駆け抜けてみたい。
🌃
冒頭の名作映画。
初めての出会いでは完敗したものの
その後いつの間にか私は
その作品の魅力にとりつかれていた。
今もまだ理解できないシーンばかり。
それでも観るたびに
新たな発見がある。
そして理解できないシーンを
自分なりに解釈しようとしている。
ステイホーム期間中、
私はその名作映画をまた観ていた。
オープニング曲の交響詩
"ツァラトゥストラはかく語りき"が
私を映画の世界観へと誘(いざな)う。
ついに二桁10回目の視聴である。
そう、その名作映画の題名は・・・。