No.161【100万人の声】

ネット上に溢(あふ)れる
様々な声、声、声、・・・。
根も葉もない主張でも
ネットを通じて広がれば
多くの人たちに届いてしまう。

暴力を誘発するメッセージも
SNSを通じて拡散していく。
世界各地で繰り返される
暴力による応酬の数々。


まだネット全盛ではなかった27年前、
アフリカの小国で悲劇が起きた。

" ルワンダの虐殺 "
それはラジオ放送から始まった。

🇷🇼

アフリカの内陸国ルワンダでは
"フツ"と"ツチ"の二つの部族が
長らく平和に暮らしていた。
しかし19世紀に
植民地になった事をきっかけに
両部族の対立が深まった。

1994年4月、ラジオ放送が
恐怖を煽(あお)り始めた。
ツチ族がフツ族を襲おうとしている、
やられる前にやれ、と。
この放送を真実と受けとめた
フツ族の過激な集団が
突然ツチ族を襲い始めたのだ。
その暴力は拡大し続け、
ツチ族を庇(かば)おうとした
同じフツ族に対しても
裏切り者として攻撃が向けられた。

隣人だろうが
親類だろうが
敵と見なした人間に対しては
情け容赦のない暴力が
３ヶ月にもわたって続いた。

死者は100万人とも言われる。
その犠牲者の中には
多くの子どもたちも含まれていた。
生き延びた子どもたちも
目の前で家族が殺され
心に大きな傷を負うこととなった。

📻

2004年公開の映画
『ホテル・ルワンダ』
1994年にルワンダで
いったい何が起きていたのかを
私が知るきっかけとなった映画。

映画のエンディングに流れる歌、
「Million Voices」。
ルワンダの犠牲者100万人、
その声なき声が観客の胸を打つ。

人々の憎悪を煽るのも声なら
人々の理性に訴えるのも声である。

「Million Voices」
バックコーラスで流れる
子どもたちの歌声を
最後に日本語訳で紹介したい。

　私の上に太陽は いつ戻るんだろう
　太陽を取り戻すのは 誰なんだろう
　子どもたちの泣き声が 聞こえるか