校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.164
- 公開日
- 2021/02/20
- 更新日
- 2021/02/20
校長室より
No.164【ピンクのランドセル】
「男子は黒に決まってんだろ!」
私が小学生だった頃、
登下校中にいつも同級生に囲まれ
冷やかされている男子児童がいた。
私より2〜3年下の学年。
冷やかしの対象は
そのランドセルにあった。
男子は黒、女子は赤と
小学校入学時から
男女別のランドセルの色は
当たり前だとされていた。
しかしその男子児童は
当時としてはとても珍しい
ピンクのランドセルを背負っていた。
私は傍観者でしかなかった。
いや、傍観者というよりも
心の中では周囲の児童と同じように
「男子は黒のランドセルなのに」
そう思い込んでいた。
冷やかされながらも
その児童は繰り返し訴えていた。
「どうしてピンクじゃだめなの」と。
🎒
先日砧中学校で開催された
「人権問題体験学習会」。
性のあり方(セクシュアリティ)は
主に4つの要素の組み合わせによって
形づくられているとの話があった。
「身体的性別」は身体の性
「性自認」は自認する性
「性的指向」は好きになる性
「性表現」は表現する性
そしてそれぞれの要素には
グラディエーションがある。
「自分らしさ」は人それぞれ。
その人らしくあろうとすることを
誰かが否定できるものではない。
レディース、メンズにこだわらず
自分が素敵だと思うファッションを
着こなしたいという講師の言葉。
その言葉を聞いた瞬間、
私には一人の児童の訴える声が
遠い記憶の彼方から
こだましてきたように思った。
「どうしてピンクじゃだめなの」
🏫
講演会の最後に
講師から発せられたメッセージ。
セクシュアリティは
人の数だけある
今、タイムマシンがあって
私が小学生当時に
もしも戻ることができたなら
ピンクのランドセルの児童に
きっとこう声をかけるだろう。
「ピンクは素敵な色だよね」