校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.169
- 公開日
- 2021/03/28
- 更新日
- 2021/03/28
校長室より
No.169【受け継がれる歌声】
令和3年3月17日 水曜日
昨秋中止となった
合唱コンクールの代替行事として
3年生が1・2年生を前に
合唱を披露した。
合唱コンクール・・・
それは担任にとっても
心落ち着かない行事である。
生徒たちの頑張る姿を
練習当初から見ているからこそ
自分の学級に感情移入してしまう。
どんなに練習を積み重ねても
わずかの差で明暗が分かれる。
金賞をとればもちろん、
学級の一体感はさらに増す。
しかし結果が無冠に終わった時は
生徒たちにどう声をかけるべきか
担任として思い悩むのだ。
随分と昔の話になるが、
私の担任した学級が
猛練習のかいなく
合唱コンクールで
無冠に終わってしまった。
果たしてどんな顔をして
教室に入ればいいのか
躊躇(ちゅうちょ)する私に
先輩教師が声をかけてくれた。
生徒が寄り添ってほしい時に
寄り添えるのが教師です。
🎶
合唱コンクールを
「水平」でとらえてみると
同じ学年での勝敗となる。
しかしこの行事を学年を越えて
「垂直」にとらえ直してみると
また違った風景が見えてくる。
まずはじめに1年生が歌う。
例年にもまして素晴らしい出来。
しかし2年生が歌い始めると
1年の差の大きさは明らかとなる。
さすがは2年生だと観客は感心する。
そしていよいよ3年生。
3年生が歌い始めると
場内は一瞬、息をのむ。
1・2年生を圧倒するその歌声に
最上級生としてのプライドがにじむ。
この瞬間のために
合唱コンクールの3年間の
積み重ねがあると言ってもいい。
そして1・2年生もまた
新たなスタートを切るのだ。
あの3年生を必ず越えてみせると。
🏫
3月17日に行われた
在校生に向けての合唱披露。
そして3月19日、卒業式後の
保護者に向けての合唱披露。
十分な練習時間が確保できず、
体育館での披露もできず、
さらにはマスクまで着用している。
決して恵まれた条件とは言えない中、
それでも3年生の歌声は
私たちの胸に深く響きわたった。
歌声を受け継ぎたい、
自分たちの歌声を届けたいという
3年生の心からの願いは
勝ち負けを超越して
合唱の素晴らしさを
私たちに改めて教えてくれた。
そして私はその歌声を聴きながら
先輩教師がかけてくれた
かつての言葉を思い出していた。
生徒が寄り添ってほしい時に
寄り添えるのが教師です。