校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.173
- 公開日
- 2021/05/01
- 更新日
- 2021/05/01
校長室より
No.173【ローマ人の休日】
最近になって初めて知った話題から。
恋愛映画の金字塔、
『ローマの休日』(1953年)
原題は「Roman holiday」
しかし英語として本来であれば
「Holiday in Rome」が
正確な表現となる。
「Roman holiday」を直訳すると
「ローマ人の休日」となってしまう。
イタリア訪問中のある国の王女アン。
そしてその取材をする新聞記者ジョー。
イタリアの首都ローマで過ごした
身分の異なる二人の
幸せな日々が描かれる。
まさに「ローマの休日」なのだ。
ではなぜ原題が
「ローマ“人“の休日」になるのか?
🇮🇹
「Roman holiday」は
英語の慣用句である。
そしてその慣用句は
「他人を犠牲にした娯楽や利益」
という意味になる。
ちょっと物騒な表現なのだ。
古代ローマでは、
奴隷同士を剣闘士として
闘技場で戦わせていた。
その残酷な見世物に
多くの古代ローマ人は熱狂した。
ローマ人の休日は
他人の犠牲の上に成り立っていたのだ。
映画もまた二人の恋愛を描きながら
「他人の犠牲」を匂(にお)わせている。
王女アンは王室や国民を見捨ててまで
恋愛に走ろうとしている。
また新聞記者ジョーの本当の目的は
この恋愛をスキャンダルにして
特ダネを手にいれることなのだ。
誰かを犠牲にすることで
得られる幸せとは何なのか?
この恋愛映画の奥の奥には
深いテーマが隠されている。
果たして主人公の二人が
最後に下した決断は?
📷
昨年に引き続き
緊急事態宣言下での大型連休。
休日には思いっきり
楽しみたい気持ちは誰もが同じ。
しかし自分の楽しみのために
誰かを犠牲にするかもしれない不安は
今もまだ拭(ぬぐ)いきれない。
「Roman holiday」にするか
「Holiday at home」にするかは
私たちの決断にかかっている。
※ 参考
NHK『日本人のおなまえ』4/15放送