校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.181
- 公開日
- 2021/06/19
- 更新日
- 2021/06/19
校長室より
No.181【トゥルーマン・ショー】
小学生の時の不思議な体験。
ある日の学校からの帰り道、
お寺の角を曲がろうとした時、
思わず女性にぶつかりそうになった。
年配の着物姿の女性。
「ごめんなさいね」
上品に謝られた私も思わず
「ごめんなさい」と謝った。
そしてその翌日のことである。
学校からの帰り道、
お寺の角を曲がろうとした時、
全く同じことが起きたのだ。
年配の着物姿の女性と
ぶつかりそうになり、
女性は昨日と同じように
「ごめんなさいね」と私に謝った。
まさに同じシーンの繰り返し。
怖くなった私は
その翌日からお寺の角を避けて
遠回りして帰るようになった。
🎒
映画『トゥルーマン・ショー』
1998年以来この映画を観るたびに
私は小学生の頃の体験を思い出す。
トゥルーマンは生まれた時から
テレビでその生活を中継されている。
彼の周囲は全て俳優が演じており
巨大なセットの中で暮らしている。
30年間その暮らしを続けた彼は
家族も友人もそして住む町も
テレビの中の架空の世界だとは
決して疑うことはなかったのだ。
会社での仕事も
恋人との恋愛も
すべてシナリオ通りに進められる。
トゥルーマンだけが
実生活だと信じ込んでいるのだ。
しかし少しずつではあるが
トゥルーマンは違和感を覚え始める。
同じパターンで繰り返す日常が
誰かに仕組まれているのではないかと。
私はこの映画を観るたび
ふと不安を覚えるのだ。
自分の人生だと信じている現実が
実は誰かによって
コントロールされていたとしたら。
📺
小学生の頃、2日続けて起きた
全く同じシチュエーション。
あれは果たして偶然だったのか?
それとも誰かに仕組まれたのか?
仕組まれたと言えば
ネットで検索を繰り返すたびに
同じような商品が表示される現在。
自分で商品を選んでいるつもりでも
実はその商品を買うように
コントロールされているとしたら・・・
小学生の頃の体験よりも
今の方が怖い事かもしれない。