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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.189

公開日
2021/08/14
更新日
2021/08/14

校長室より

No.189【壁の向こう側】

かつてドイツのベルリンには
東西を分断する壁が築かれていた。

〜 ベルリンの壁 〜

経済状況が悪化する東ドイツから
西ドイツへ逃れようとする人々。
しかし東ドイツの国境警備隊は
その逃亡を決して許さなかった。

壁を乗り越えようとして
多くの犠牲者が出た。
それでも人々は自由を求めて
命がけで壁の向こう側を目指した。

🧱

西側への脱出が発覚すると
その場で銃殺される運命にあった。

脱出を成功させようと
あらゆる手段が考えられた。
ある家族は布地をつないで
手製の熱気球を完成させた。

空には壁がないから。

しかし東ドイツの秘密警察は
その企てを徹底的に調査した。
同じ店で布地が大量に買われると
その情報は秘密警察へと
すぐに報告される。
そのため家族は別々の店で
少量に分けて布地を購入した。
近所の人に通報されないよう
秘かに気球を縫い上げていった。

熱気球が完成して
いざ飛行を始めた途端に
バーナーの火が布に燃え移り
熱気球は墜落の危機に見舞われる。

果たして家族は
国境を越えることが
できるのだろうか・・・


華やかなオリンピックの陰で
祖国に戻ることを拒み
他国へ亡命した選手。

今もなお世界では
見えない壁の向こう側へと
逃れようとする人たちがいる。


🎈

1989年11月、
ベルリンの壁が崩壊した。
しかしその9ヶ月前、
東ドイツの兵役を拒否して
壁を乗り越えようとした
二十歳の若者が銃殺された。

彼がベルリンの壁での
最後の犠牲者となった。

※ 参考
映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』