校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.191
- 公開日
- 2021/08/28
- 更新日
- 2021/08/28
校長室より
No.191【思い出のおやつ】
待ちに待った3時のおやつ。
食卓に出されたおやつに
幸福感を味わったあの頃。
あなたにとっての
思い出のおやつは何ですか?
🕒
小川糸さんの小説
『ライオンのおやつ』
物語の舞台は
瀬戸内の小さな島にある
ホスピス「ライオンの家」。
ホスピス・・・
余命を告げられた患者が
緩和ケアを受けながら
余生を過ごす施設。
33歳の主人公の雫(しずく)は
医者から余命を宣告される。
自暴自棄になった雫を
暖かく迎え入れてくれたのが
そのライオンの家であった。
施設に集う入居者たちもまた
雫と同様に余命を宣告されている。
入居者たちの楽しみの一つが
毎週日曜日に出される
3時のおやつである。
入居者一人ひとりの思い出のおやつが
その思い出話とともに食卓を飾る。
何気ない日常だと思っていた日々が
自分にとって最も幸福な時だったと
病に侵されてはじめて実感する。
病に侵されたからこそ
出会える人たちがいる。
余命を告げられたからこそ
「生きる」ことの有りがたさを知る。
命のタイムリミットを知った時、
愚痴や不平不満を言えた日々も
実は恵まれた大切な時間であったと
入居者たちは振り返っていく。
思いっきり不幸を吸い込んで
吐く息を感謝に変えれば
あなたの人生は輝くでしょう。
🦁
主人公の雫も、
そして他の入居者たちも
ライオンの家での
残り少ない日々を通して
本当の幸せとは何かについて
ゆっくりと考えるようになる。
幸せとは
誰かと比べるものではなく、
どれだけ周りの人たちを
笑顔にできるかだということを。
あなたがもう一度
味わってみたいと思うおやつ。
その思い出のおやつを
心に思い浮かべてみた時、
あなたはきっと
幸せな気持ちになるだろう。
そしてあなたの
その幸せな気持ちが
きっと周りの人たちをも
笑顔にすることができるだろう。